改訂新版 世界大百科事典 「シロイヌナズナ」の意味・わかりやすい解説
シロイヌナズナ
thale cress
Arabidopsis thaliana (L.) Heynh.
畑や道端に生えるアブラナ科の帰化雑草。根出葉はロゼット状でへら形,長さ1~2.5cm。春になると,直立する茎を出し,高さ15~30cm。根出葉には叉(さ)状に分かれた毛があるが,茎には毛がない。花は4~5月ころ,散房花序につき,白色で直径5mmくらい。各4枚の萼片と花序が十字形に配列し,短い2本のおしべと4本の少し長いおしべがある。めしべは1本。果実は柄のある長さ10~16mmの細い棒状で斜めに立ちあがる。アジア,ヨーロッパ,アフリカに広く分布している。
シロイヌナズナ属Arabidopsis(英名mouse-ear cress)は北半球に数種あるだけの小さい属である。ハタザオ属に似ているが,種子の中に子葉が背位に入っているので,区別される。
執筆者:村田 源
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