日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンクイガ」の意味・わかりやすい解説
シンクイガ
しんくいが / 心喰蛾
昆虫綱鱗翅(りんし)目シンクイガ科Carposinidaeのガの総称。はねの開張15~30ミリメートルの小形のガを含む小さな科で、日本には10種知られている。世界中に分布するが、オーストラリアやハワイには比較的種の数が多い。この科のなかで日本でもっともよく知られているモモノヒメシンクイの幼虫が、モモ、リンゴ、ズミなどバラ科の果肉内に食入する害虫であるし、科の学名の意味が「花や果実をむしる」という意味のため、シンクイガとよばれているが、日本産で幼虫の判明しているのは、モモノヒメシンクイのほか、スギの樹皮内に潜入するといわれているシロモンクロシンクイしかなく、残りの種の幼虫が、はたして果実、茎、あるいは樹皮下に侵入するシンクイムシかどうかわからない。
[井上 寛]