ジボラン

デジタル大辞泉 「ジボラン」の意味・読み・例文・類語

ジボラン(diborane)

ボラン二量体。→ボラン

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化学辞典 第2版 「ジボラン」の解説

ジボラン
ジボラン
diborane

B2H6(27.67).ジボラン(6)と書くことがあるが,(6)はボランの非置換の母体鎖の水素数を示す.特異臭のある気体.水素化アルミニウムリチウムLiAlH4などの金属水素化物と三フッ化ホウ素エチルエーテル錯化合物BF3・(C2H5)2Oとの反応で得られる.図に示すように,2個のBH2のB間が,2個のB-H-B三中心二電子結合(三中心結合)2個で結ばれている.4個の末端水素と2個のBは同一平面上にあり,中間のB-H-B-H面はこれに直交している.

融点-165 ℃,沸点-92.5 ℃.密度0.447 g cm-3(-112 ℃).空気中40~50 ℃ で発火燃焼する.水では加水分解し,湿った空気中でも爆発的に反応して H2 とH3BO3になる.加熱,または光照射で分解し,さらに高次のボランを生成する.水素と加熱しても高次ボランを生じる.HClとはB2H5Clを,Cl2 とはBCl3とHClを,メタノールとはHB(OCH3)2を,オレフィンベンゼンとは,それぞれアルキルボラン,アリールボランを,N(CH3)3とはH3B・N(CH3)3を生じ,これを加熱すると(CH3)2N・BH2となる.また,-120 ℃ でNH3と反応して[H2B(NH3)2][BH4]となり,これを加熱するとボラジンを生じる.オレフィンの重合触媒ほかのボラン類の製造原料,ゴム加硫,還元剤ロケット燃料,半導体処理などに用いられる.[CAS 13283-31-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジボラン」の意味・わかりやすい解説

ジボラン
diborane

化学式 B2H6 。化学的に活発な,揮発性の水素化ホウ素 (ボラン ) の1つ。これらは 1912~36年に A.ストックらによって合成された。ジボランは高級水素化ホウ素の出発物質として重要。融点-165.5℃,沸点-92.5℃。常温では比較的安定であるが,湿気があると自然発火する。強い還元作用があり,アルコールと反応して水素を発生し,常温で多くの有機化合物を還元する。水に触れると瞬間的に加水分解し,ホウ酸を生じる。ホウ素の中性子吸収断面積が大きいので,中性子カウンターの材料に使われる。また高い燃焼熱を利用して航空機,ロケット用燃料に使われる。すぐれた還元剤として有機合成にも利用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジボラン」の意味・わかりやすい解説

ジボラン
diborane

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のジボランの言及

【電子不足化合物】より

…これに対し,そのようにするのには電子が不足している化合物があるが,これらを一般に電子不足化合物といっている。たとえばジボランB2H6およびヘキサメチル二アルミニウムAl2(CH3)6のような化合物では次のような骨格をもっており,隣り合った原子の組合せはいずれも八つあるのに,結合に使われる電子対の数は六つしかない。B2H6では六つのHから一つずつ,一つのBから原子価電子3個ずつで計12個,すなわち6電子対,Al2(CH3)6では同様にCH3のCから一つずつ,Alから三つずつで6電子対である。…

【ボラン】より

…B10C2H12,B5CH9,B4C2H8などがこれに属する。
[ジボランdiborane]
 化学式B2H6。単量体BH3の形では単離することができない。…

※「ジボラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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