山川 世界史小辞典 改訂新版 「スカンディナヴィア」の解説
スカンディナヴィア
Scandinavia
ヨーロッパ北部のスカンディナヴィア半島のノルウェー,スウェーデン,フィンランドにデンマーク,アイスランドを加えた地域。ただしスカンディナヴィア三国と呼ばれるときには,ノルウェー,スウェーデン,デンマークをさす。8世紀からヴァイキングがこれらの地域を拠点に活動し,国家を建設。また,この時期までにフィン人も定住。11世紀前半にはデンマークのクヌーズ王がノルウェー,スウェーデンの一部を征服し,イングランドを含めた「北海帝国」を建設。12世紀半ばにはスウェーデンがフィンランドに侵攻し,キリスト教化を図った。1397年,ハンザ同盟に対抗して,3王国がデンマーク王のもとにカルマル連合を結成したが,1512年スウェーデンが独立。その後,デンマーク,スウェーデン王国はバルト海貿易をめぐり抗争。スウェーデンは三十年戦争の介入を通じて「バルト帝国」を建設したが,ロシアに敗れた。19世紀,北欧にもロマン主義の影響が及び,「スカンディナヴィア主義」が興隆,同君連合が企図されたが,実現しなかった。1905年にノルウェーが独立。第一次世界大戦期には,北欧三国は中立を宣言し,戦火を免れた。17年,ロシアからフィンランドが独立。44年デンマークからアイスランドが独立。第二次世界大戦期において,スウェーデンだけが中立維持に成功。戦後は,49年にノルウェー,デンマーク,アイスランドがNATOに加盟。北欧5カ国間には「北欧会議」が形成され,社会的・文化的統合が進んだが,73年にデンマークがECに,95年にはスウェーデン,フィンランドがEUに加盟した。北欧諸国間の関係も変化している。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報