北欧会議(読み)ほくおうかいぎ(その他表記)Nordisk Råd

改訂新版 世界大百科事典 「北欧会議」の意味・わかりやすい解説

北欧会議 (ほくおうかいぎ)
Nordisk Råd

1952年以来,デンマークアイスランドノルウェースウェーデンの各国議会および政府の代表により毎年定期的に開催されている評議機関(第1回は1953年),56年からフィンランドも参加し,アイスランドの6議席例外にそれぞれ18議席を有し,さらに議決権のない各国政府代表をオブザーバーとして構成されている。ただし,69年の規約改正によって,デンマークのフェロー諸島,フィンランドのオーランド諸島の両自治領も議席を有し,さらにグリーンランドがデンマークで自治領化した(1979)のに伴い,議席をもった。しかし,デンマークおよびフィンランドの両本国代表の議席数が減じたので,当会議の総議席数に変化はない。北欧会議は当該2国間以上にかかわる問題を討議し,採択事項を各国政府あるいは北欧閣僚会議へ勧告する機能をもつ。各国政府はその決定に従う義務はもたないが,北欧共同労働市場,北欧諸国間旅券無審査制等に代表されるように,現実には多くの決定が実行に移され,北欧経済連合(NORDEK)案が70年に成立にいたらなかったなどの経済政策面を例外とすれば,北欧諸国間協力を考えるうえで社会・厚生・文化政策面での当会議の役割はきわめて大きい。なお,通常用いられる訳語中,〈北欧理事会〉はその実際的機能の内容から的確性を欠くきらいがある。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「北欧会議」の解説

北欧会議(ほくおうかいぎ)
Nordic Council

北欧評議会ともいう。1952年に設立されたアイスランド,ノルウェー,スウェーデン,フィンランド,デンマークの北欧5カ国とグリーンランド,デンマーク領フェロー諸島,フィンランド領オーランド諸島からなる地域協力機構(フィンランドは55年に加入)。非軍事的な諸分野での国会議員代表の強力組織を基盤とし,民間主導型という特徴がある。外交・安全保障を除く社会,経済,文化,交通・通信,法律分野での協力を進めた。域内での一定の成果を達成した北欧会議は,冷戦終結,EUの実現など国際政治の変化の影響も受け,80年代後半から90年代前半には,その活動範囲を環バルト海,バレンツ地域,北極地域に広げ,特に環境問題との取り組みに成果をあげている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北欧会議」の意味・わかりやすい解説

北欧会議
ほくおうかいぎ
Nordic Council

北欧5ヵ国 (デンマーク,フィンランド,アイスランド,ノルウェー,スウェーデン) の政策の統一を目指す評議機関で,1953年に発足,56年にフィンランドが加わった。自治領 (グリーンランド,フェロー諸島,オーランド諸島) を含む各国の国会議員代表によって構成され,オブザーバーとして各国政府代表が参加,年2回の総会で,2ヵ国以上にまたがる政策上の問題について勧告を行う。全会一致方式をとり,その決定は強制力をもたないが参加国政府に対する影響力は強く,勧告の6割は実現し,北欧共同労働市場をはじめ共通の法制度や社会政策,交通・通信,文化政策の分野で統合の実績をあげてきた。北欧5ヵ国は安全保障政策を異にするため軍事,外交分野は避け,いわゆるロウ・ポリティクスの諸分野で成功を収めてきたものの,欧州連合 EUの統合が進み,北欧諸国の欧州連合 EU加盟が日程に上ることによって北欧会議も新たな方向を模索しつつある。

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世界大百科事典(旧版)内の北欧会議の言及

【フィンランド】より


[外交]
 戦後,自由主義国家と共産主義国家との対立から,フィンランドは経済と政治の間に明確な線引きが行われ,西側と東側の利益の均衡が保たれる限りにおいて,経済分野では西欧への協力参加が可能であったが,政治的には中立を余儀なくされた。まず,フィンランドは1955年に国際連合と北欧会議に加入した。北欧会議の加入国の国民は,自由にスカンジナビア諸国に滞在して働くことができ,社会的給付を受けられるようになっている。…

※「北欧会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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