スーパーヘテロダイン受信機(読み)すーぱーへてろだいんじゅしんき(英語表記)super heterodyne receiver

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スーパーヘテロダイン受信機
すーぱーへてろだいんじゅしんき
super heterodyne receiver

到来する電波周波数に受信機の中で発生させる別の周波数を混合し、その差の周波数がつねに一定になるようにして十分な利得と選択度を得られるようにした受信機。現在、一般に普及しているラジオ受信機、テレビジョン受像機をはじめとして、レーダー、通信用受信機、衛星通信用受信機に至るまで、ほとんどの受信機がこの方式を用いている。高周波増幅器信号増幅するとき、その利得が80デシベル(1万倍)を超えると発振をおこし、それ以上増幅することができなくなる。これは増幅された出力の一部が入力側に正帰還するためである。受信機の感度をよくするためには100デシベル(10万倍)から120デシベル(100万倍)程度の増幅が必要である。このため入力電波の周波数で増幅したのち、別の周波数に変換して、正帰還がおきても同調周波数の差によって初段増幅回路には帰還しないようにする必要がある。到来電波が被変調波であるときは、当然、側波帯を有しているから、そのスペクトラムをそのまま、あるいは逆のスペクトラムで第二の周波数に変換する。この周波数を中間周波数といい、ラジオ受信機の場合はその中心が455キロヘルツ、FM放送受信機の場合は10.7メガヘルツである。両者とも必要なスペクトラムが通過できる帯域幅をもたなくてはならないが、帯域幅が不必要に広すぎる場合には良好な選択度が得られないばかりか、雑音を発生する帯域幅が広くなるために信号対雑音の比率が悪化し、結局、受信感度が低下する。周波数の変換は局部発振器からの周波数と混合し、普通、局部発振周波数から受信周波数を減じた周波数が中間周波数となるように設定する。

 スーパーヘテロダイン受信機の難点としては、局部発振周波数と加減算をすることによって中間周波数となりうる周波数がもう一波あって、そこに電波が存在すればこれを受信してしまうことである。これをイメージというが、高周波増幅器の選択性をよくすることによって希望波との比率を40デシベル(100分の1)以下にすることができる。

 スーパーヘテロダイン受信機にはさらに周波数の変換を行うダブルスーパーヘテロダイン方式や三度変換を行うトリプルスーパーヘテロダイン方式もある。

石島 巖]


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