通信工学において、増幅器等の電子回路の周波数通過特性をいう。なんらかの情報を伝える電気信号には、たくさんの周波数成分を含んでいる。たとえば人の音声は300ヘルツから10キロヘルツまでの周波数を含んでおり、テレビジョンの映像信号には100ヘルツから4.5メガヘルツまでの周波数を含んでいる。これらの電気信号で搬送周波数を変調した被変調波は、その搬送波の近辺にさらにスペクトルが広がっている。これを増幅したり伝送したりするには、その電子回路や伝送線路が、これらの周波数成分の全体を通過することができなくてはならない。このため、電子回路や伝送線路がどれだけの周波数範囲について、どのような伝送の性能であるかを示す指標として帯域幅を用いる。帯域幅は、電力伝達の比率が3デシベル(2分の1)低下する上限の周波数から、同じく3デシベル低下する下限の周波数を差し引いた周波数幅である。スーパーヘテロダイン受信機の中間周波増幅回路の帯域幅は、通過電圧が6デシベル(2分の1)低下する範囲の周波数幅で表す。混信や雑音を低減するためには、不必要に帯域幅が広い回路は推奨できない。電波の占有周波数帯幅を帯域幅とよぶことがあるが、正しい呼び方ではない。
[石島 巖]
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