セイフーリナ(英語表記)Lidiya Nikolaevna Seifullina

改訂新版 世界大百科事典 「セイフーリナ」の意味・わかりやすい解説

セイフーリナ
Lidiya Nikolaevna Seifullina
生没年:1889-1954

シベリア出身のソ連女流作家。1917年から本格的に作品を発表し始め,ソビエト初期のリアリズム文学一翼をになった。ロシアの農村生活を直接よく知っていることが,彼女の強みだった。革命初期の浮浪児たちを描いた《犯罪者たち》(1922),農村の階級闘争を扱った《腐植土》(1922),革命思想に感化されてゆく農村女性を主人公とした《ビリネーヤ》(1924)などの小説が有名である。《ビリネーヤ》は25年に戯曲化され,舞台でも好評を博した。その後の作品としては短編《ターニャ》(1934),戯曲《ナターシャ》(1937),中編《自分の土地で》(1946)などが知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セイフーリナ」の意味・わかりやすい解説

セイフーリナ
せいふーりな
Лидия Николаевна Сейфуллина/Lidiya Nikolaevna Seyfullina
(1889―1954)

ソ連の女流作家。地方の僧職者の家に生まれる。図書館司書、小学校教師、女優などを経験し、革命後に執筆活動を始めた。1924年からは中央誌に作品を次々と発表、冷静なタッチの素朴なリアリズムで革命の正義とともに民衆生活の矛盾、困難をも描いた。とくに農民生活の描写に優れ、革命によって精神的に解放された新しい農村女性を主人公とする中編『ビリネーヤ』(1924)が代表作。この作品はのちに作者自身の手で戯曲化され、ソ連以外にプラハパリなどで上演されて好評を博した。第二次世界大戦後は、女流作家の育成に力を注ぎ、大きな役割を果たした。

[灰谷慶三]

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