改訂新版 世界大百科事典 「センネンボク」の意味・わかりやすい解説
センネンボク (千年木)
Cordyline terminalis Kunth
リュウゼツラン科の常緑低木で,マレーシア,ポリネシア,オーストラリア北東部などに広く栽培分布する。ハワイなどで,フラダンスの腰みのに用いられる。ひじょうに変異が多く,葉の色,形の変化したものが観葉鉢物として栽培される。幼苗期を観賞するので,花を見ることはあまりない。銅緑色にピンクから赤紫色の斑(ふ)が入るアイチアカ(愛知赤)cv.Aichiakaはじょうぶで,よく普及している。葉が小さく,密生し,濃緑色にピンク~赤紫色の斑が入るレッド・エッジcv.Red Edgeもミニチュア種として人気がある。クリスタルcv.Crystalは新品種で,黄緑斑が多く入り,赤紫色も混ざって美しい。
センネンボク属Cordylineは約15種ほど広く熱帯に分布し,それらのうちコルディリーネ・ストリクタC.stricta Endl.は葉が長さ30~50cmの濃緑色披針形で,じょうぶで草姿がよいので,青ドラの通称で親しまれている。ニオイシュロランC.australis Hook.f.(英名ti(palm),tuft tree,cabbage tree)は耐寒性があり,庭園樹木として栽植される。挿木,取木でふやすが,根茎挿が効率がよい。冬は5~8℃以上に保つ。ハダニとカイガラムシが発生しやすい。センネンボク属の英名はdracaeaであり,ドラセナ属Dracaenaと混同されやすい。ドラセナ属は,多肉質の地下茎がなく,根は黄色,子房3室で各室1種子のことが多いが,センネンボク属は,多肉質の地下茎があり,根は白色,子房は3室だが各室6~15個の種子を含むので区別される。センネンボク属の多くは,葉に葉柄があるが,ドラセナ属では無柄のものが多い。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報