ハワイの民族舞踊。女神ラカに仕える巫女(みこ)によって儀式の一部として踊られたもの。叙述的型式の身ぶりによって踊られ、ハワイの歴史や神話の歌詞を伴う。
[市川 雅]
若い踊り手オロパと、歌と楽器で伴奏をつける年長組のホオパとに分けられ、踊り手は男女とも同じコスチュームを着け、膝(ひざ)まである一種のスカートのパウ、腕輪クペ、そして頭に花輪をかぶる。基本のステップは6種類あり、その組合せによってさまざまに変化する。両足の前への動き、尻(しり)部の振り、尻部の振りを伴ったサイドステップ、膝を曲げての跳び上がり、回転、数回の旋回などである。踊り終わるとき、腕を広げ、指を反らし手をあわせて挨拶(あいさつ)する。
[市川 雅]
クック諸島(ポリネシア)に古くから伝えられていた民族舞踊を源とする。腰を激しく動かして踊る女性の踊りと、両膝を打ち合わせる男性の踊りであったため、19世紀初めごろからキリスト教が布教されると同時に、動きが猥雑(わいざつ)とされ弾圧された。しかし、20世紀初頭、トーマス・デービス卿(きょう)によりその価値をみいだされ、クック諸島の伝統的民族舞踊となった。1910年、カメハメハ1世をたたえる式典でフラ・ダンスが踊られたことから、それ以後、ハワイを代表するダンスとなった。現在ではほとんど宗教的な意味を失い、観光用に踊られることが多いが、民族の歴史を踊り継ぐものとして再評価されつつある。また、気軽に楽しめる社交ダンスの一つとして一般にも普及しつつある。
[國吉和子]
『和多田悦子著『フラとハワイ フラを楽しむ』(1998・源流社)』
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… 古代インドではへその上に3本の横ひだがあるのが美女の条件だったという(《王子の誕生》のパールバティー,《屍鬼二十五話》のマラヤバティーなど)。腹部の性的魅力を誇示するベリー・ダンスやフラ・ダンスなどがある一方,露出した腹部に目鼻などを描いて遊ぶ腹芸が可能なのは,腹だけでなく体幹や臀部の筋肉が協調した伸縮による。 腹や腹部臓器に心や魂が宿るとする見方は日本にも古くからあり,今も〈腹をさぐる〉〈腹を割った話〉〈腹に一物〉その他の用法に表現されている。…
…太平洋中央部にあるアメリカ合衆国の州。略称Ha.。ハワイ王国の没落後,1898年にアメリカ領,1900年に準州となり,59年に連邦加入,50番目の州となった。面積1万6705km2で,四国よりやや狭い。人口118万(1996)。州都・最大都市ホノルル(オアフ島)。八つの主要な島(ハワイ,マウイ,カホーラウェ,ラナイ,モロカイ,オアフ,カウアイ,ニーハウ)と120以上の小島からなるハワイ諸島(北西端のミッドウェー島は含まない)が北回帰線をはさんで全長約2400kmにわたって連なる。…
…音楽はゆったりバウンスするリズムにのった詠唱的な歌に打楽器(太鼓もしくはイプ)がつくのが古典的な形で,この歌をメレ・フラmele hulaという。 1820年以降アメリカからキリスト教の宣教師が来島し,フラを不道徳的なものと曲解して禁止,その後19世紀末期に再興されてモダン・フラの時代を迎えるが,商業主義に毒された俗悪な腰振り踊りがフラあるいはフラ・ダンスと呼ばれた例が多く,フラに対する誤解は今なお払拭されていない。【中村 とうよう】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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