日本独特の喫煙具。喫煙が普及し始めた寛永(かんえい)年間(1624~44)初期、それまできせる、火入れ(香炉などを転用)、たばこ入れ、灰落としなど個々に使用していたものを、ありあわせの盆にまとめてのせたことから始まった。また、香道で使用する香盆をそのまま転用したとも伝えられ、やがて必需品となって専用品がつくられるようになった。長方形、丸形などがあり、正式には盆の正面に向かって左に火入れ、中央にたばこ入れ、右に灰落とし、それにきせる2本を添えて客前に供した。その後、盆に手提げがつき、刀掛けに倣って手提げにきせる掛けを設けたり、屋外で使用する火入れの灰が飛ぶので、これを防ぐための風覆いを三方に施したりした。また、盆の上部からたばこ入れを省略して小形にしたり、箱の下部に引き出しをつけて刻みたばこを納めるくふうも行われ、平面の盆形から立体の箱形へと変化した。さらに上流家庭では什器(じゅうき)類に範を得て、びん台(頭髪を調える用具を置く台)、茶席の棚、小箪笥(たんす)などの形を取り入れ、筆墨、硯(すずり)、用紙などの日用品入れと兼用させて、嫁入り道具の一つにもされていた。一方庶民の間でも、「客あればお茶より先にたばこ盆」といわれ、どこの家庭でも必要なものとなった。現代でも茶道では寄付(よりつき)、腰掛待合、薄茶席の三か所に、その席にふさわしいたばこ盆が置かれ、薄茶席では主客の座る位置を示し、それぞれの家元好みのものが珍重されている。また芝居の時代劇では、主役の前に置かれて演出上の小道具にもなっている。
[田中冨吉]
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