チャハマキ(読み)ちゃはまき

改訂新版 世界大百科事典 「チャハマキ」の意味・わかりやすい解説

チャハマキ (茶葉巻)
Homona magnanima

鱗翅目ハマキガ科の昆虫。翅の開張2~3.5cm。一般に雄は小型で,前翅前縁がひだ状に折れ曲がって前縁部を覆い,黒褐色紋がある。雌は淡色で,前翅にひだがなく,翅頂が突出している。北海道を除く日本全国に分布し,よく灯火に飛来する。年3回以上発生し,幼虫で越冬する。幼虫は30種以上の広葉樹針葉樹に寄生する。和名チャハマキでもチャにつくことは少なく,むしろミカン類に被害が多い。幼虫は体長2.5cm内外,黒褐色の芋虫で,葉をつづり合わせて食害する。卵は葉の表面に150粒以上の卵塊として産みつけられる。以前は,インド,スリランカ,台湾など東洋熱帯でチャの害虫としてよく知られているH.coffeariaと同一種とされていたが,最近の分類では,日本のものを別種としている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャハマキ」の意味・わかりやすい解説

チャハマキ
ちゃはまき / 茶葉巻蛾
[学] Homona magnanima

昆虫綱鱗翅(りんし)目ハマキガ科に属するガ。はねの開張20~30ミリメートル。はねは細長く、前翅の翅頂は出っ張り、外縁は中央で丸みをもつ。雄では前翅前縁にひだがあり、この部分に黒褐色の紋がある。雌は大形で、雄より色彩が明るい。後翅は雄では前縁部以外が灰色を帯びるが、雌では明るい黄褐色本州北部から南西諸島まで、ごく普通に産する。国外では台湾、中国に分布する。幼虫はチャにはほとんど寄生せず、ミカン類に被害が多いという。広葉樹にも針葉樹にもつく多食性。濃緑色から淡緑色イモムシで、寄主植物の葉を2、3枚重ねてその中におり、食害する。年に3、4回発生し、幼虫で越冬する。卵は寄主植物の葉の表面に150以上固めて産み付けられる。

[井上 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャハマキ」の意味・わかりやすい解説

チャハマキ
Homona magnanima

鱗翅目ハマキガ科。前翅長は雄 10mm,雌 15mm内外。翅は細長く,前翅は前縁が湾曲してふくらみ,翅端は突出する。前翅表は黄褐色で,雄では明瞭な帯状の褐色斑があるが雌では不明瞭。後翅前半は黄色で後半は暗色を帯びる。幼虫はほとんどすべての広葉樹の葉を食べ,針葉樹も食害する。年に4世代をもつ。熱帯地方では茶,コーヒーノキの害虫として有名。本州,四国,九州,台湾,中国,インドネシア,オーストラリア,インドなどに分布する。

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