チャンセラー(その他表記)chancellor

翻訳|chancellor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャンセラー」の意味・わかりやすい解説

チャンセラー
chancellor

大学によって,学長または名誉総長をさす。 12~13世紀のヨーロッパの主要大学では,創立以来学長はチャンセラーと呼ばれてきた。パリ大学設立以前はノートルダム大聖堂参事会付属学校の長をチャンセラーと称した。チャンセラーは司教の名において教授を総轄し,学位を授与し,大学内のすべての職員に対して司法権を行使した。しかし 13世紀末以降,その権限は制約されて単なる名誉称号となり,実権学位授与権レクターの手に移った。イタリアの大学では,元来私立の施設から出発したため,チャンセラーは教皇皇帝から任命された。オックスフォードケンブリッジでは,現在もその職は残っているが,13世紀中期以前には存在しなかった。 16世紀以降,各大学ともレクターのほかにチャンセラーをおき,司教座をおく都市ではビショップを兼ねた。イングランドの大学ではチャンセラーの地位貴族か著名な政治家に限られ,特に政府との関係において大学の一般的な利益を配慮するのが主要な役割とされている。大学の内部にあっては,副学長 vice chancellorが学長職務を代行し,管理的,司法的機能を遂行している。

チャンセラー
Chancellor, Richard

[生]?
[没]1556.11.10.
イギリスの航海家。 1553年 H.ウィロビーの北極海経由の中国への航路探検の航海長となったが,悪天候のためウィロビーらは難破 (1554) ,自船のみ白海に着き,陸路モスクワに達し,皇帝イワン4世 (雷帝)会見,イギリスとロシアの貿易条件を固めて翌年帰国,これによって 55年ロシア会社が設立された。同年再びモスクワにおもむいたが,翌年 11月帰途スコットランド沖で難破して不慮の死をとげた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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