改訂新版 世界大百科事典 「チュキカマタ」の意味・わかりやすい解説
チュキカマタ
Chuquicamata
チリ北部のアントファガスタ市から北東約200kmにある世界最大の露天掘りの大銅山。標高2700mの砂漠の中にある。規模が大きく銅鉱石の品位も高く,年間の生産量は純銅換算で約60万tに達する。アメリカのアナコンダ社の所有であったが,アジェンデ政権下で国有化され,チリ銅公団(CODELCO)によって経営が行われている。アントファガスタへは鉄道,道路が通じている。
執筆者:細野 昭雄
鉱床
中生代の断層・褶曲(しゆうきよく)運動に伴って貫入した白亜紀末のセン緑岩質斑岩中にある斑岩銅鉱床。長さ約3.2km,幅約1.1km,深さ450m以上のナシの実形をした鉱床で,ケイ化,絹雲母化した母岩中に微細脈状,鉱染状に硫化鉱物が含まれている。鉱床の最上部に溶脱帯があり,その下部に種々の酸化鉱物からなる酸化帯があり,さらに硫化鉱物帯へと移行する。酸化帯,硫化鉱物帯の間に輝銅鉱,銅ランなどからなる二次富化帯がある。鉱山では,酸化鉱と硫化鉱とを採掘,処理しているが,近年,SX-EW法と呼ばれる銅の採取法も導入して,従来からの処理方法と併用して生産量を増やしている。1925年以降稼行され,ほかに副産物として約1万tのモリブデンを生産している。銅0.86%の鉱石30億tの鉱量が見積もられている。
執筆者:山口 梅太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報