アントファガスタ(読み)あんとふぁがすた(英語表記)Antofagasta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ
Antofagasta

チリ北部,太平洋にのぞむ港湾都市。海岸山脈が急斜面をなしてモレノ湾にのぞむ地点にあり,同湾が天然の良港をなすとともに,大規模な防波堤で囲まれた人工港が建設されている。アタカマ砂漠の西部にあたる乾燥地帯にあり,雨がほとんど降らず,北東約 200km,アンデス山麓のロア川にのぞむカラマから水道が引かれている。 19世紀後半アタカマ砂漠の硝石資源と銀山の開発に伴って 1870年建設され,その積出港として発展。当初ボリビア領であったが,硝石利権をめぐって 79年チリとボリビアの間に太平洋戦争が始るとチリが占領,戦後 84年にチリ領となった。現在チリ北部最大の都市で,内陸の鉱山地帯への補給基地,および銅,硫黄などの積出港として重要な役割を果すとともに,商工業中心地であり,鋳物工場,精錬所,硫酸工場などのほか,食品,ビール,魚粉,造船などの工業が立地する。北部の文化中心地でもあり,ノルテ大学 (1956) ,鉱業専門学校,劇場などがある。パンアメリカン・ハイウェーに沿う交通要地で,鉱山地帯と鉄道で結ばれるほか,ラパス,ブエノスアイレス両方面へ通じる国際鉄道起点で,特に内陸国ボリビアにとっては,北のアリカとともに重要な輸出入港となっている。北郊には国際空港がある。人口 21万 8754 (1992推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ
あんとふぁがすた
Antofagasta

南アメリカ、チリ北部にある太平洋岸の港市。チリ第2地域(アントファガスタ)の首都。人口29万8153(2002国勢調査速報値)。対ペルー・ボリビア戦争(太平洋戦争とよばれる)でのチリの勝利によってボリビアから1884年に割譲された。周辺にチリ硝石の主要産地があり、その積出し港として栄えた。硝石産業の衰退後、北東約250キロメートルにある世界最大の露天掘り銅山チュキカマタからの銅の積出し港となり、またチリ北部の経済の中心都市ともなっている。アルゼンチン、ボリビアに鉄道が通じている。

[細野昭雄]

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