日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョッキリゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
チョッキリゾウムシ
ちょっきりぞうむし / 直截象虫
昆虫綱甲虫目オトシブミ科の一亜科Rhynchitinaeの昆虫の総称。世界中で約1200種、日本には約60種が知られ、雌は産卵の際に若枝、果柄、葉などを途中まで切り、先のしおれた部分に卵を産む習性があるのでチョッキリの名がある。モモチョッキリゾウムシは、モモ、ナシ、ビワなどの果柄を切る害虫で、ウメチョッキリゾウムシもウメについて同様の産卵習性をもつ。ドロハマキチョッキリやイタヤハマキチョッキリは、葉柄を切ってしおれた葉を数枚集めて葉巻形の大きな「ゆりかご」をつくる。これにはヤドカリチョッキリが寄生するが、幼虫はゆりかごの一部を食べて両種とも育つ。バラにはヒメケブカチョッキリとクロケシツブチョッキリがつき、つぼみの付け根に切れ目をつける。ルリチョッキリの仲間は、カキ、ナシ、モモなどの若枝を切る。イクビチョッキリの仲間は、ナラやシイなどの葉を中間で切り、先のしおれた部分を縦に巻く。
[森本 桂]