改訂新版 世界大百科事典 「チンタオ」の意味・わかりやすい解説
チンタオ (青島)
Qīng dǎo
中国,山東省の省直轄市。人口272万(2000)。膠州湾口の東にある港湾都市。膠済鉄道の終点で,半島部の中心都市であるばかりでなく,工業では省第一の都市。黄河河口にある勝利油田よりパイプラインをひいて石油化学工業が発達するほか,重軽両部門にわたって発達している。もともと膠州湾では湾奥の膠県(板橋鎮)に中心があり,今の青島には小漁村があって,明・清時代にも倭寇に対する防衛基地が設けられていたにすぎなかったが,1897年(光緒23),ドイツは山東の曹州で自国の宣教師が殺されたのをきっかけに,膠州湾一帯を占拠し,翌年〈膠澳租界条約〉を結んで,湾口を制するこの地に港湾と都市の建設を始めた。市街地は整然と区画され,機能的な都市計画が施され,郊外には別荘地が設けられるなど,完全に西洋式の都市が出現した。その経済力は従来の中心であった芝罘(チーフー)(烟台)を上まわり,ドイツの中国侵略の基地となった。第1次大戦では日本が占領したが,1922年ワシントン会議の結果,中国に返還された。29年,特別市となり,30年青島市と改められた。背後に嶗山(1133m)をひかえ,風光明美な都市。市街地は新しいが市域には古跡も多く,また海産博物館は,海洋研究の中心として有名。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報