ツァーベルン事件(読み)つぁーべるんじけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツァーベルン事件」の意味・わかりやすい解説

ツァーベルン事件
つぁーべるんじけん

プロイセン・フランス戦争の結果、ドイツに併合されたアルザス州の小都会ツァーベルンZabern(フランス語ではサベルヌSaverne)で、1913年11月に起こったドイツ軍と住民との衝突事件。アルザスの住民はドイツ民族であるが、民主的風習になじんでいてドイツ帝国による軍国主義的支配を嫌っていた。そこに20歳の若い軍国主義的な少尉フォン・フォルストナーVon Forstnerが着任して、新兵教育のときにアルザス住民をむちゃなことばで侮辱した。このことが地方新聞で暴露されると、住民はフォルストナーが外出するごとに包囲して彼を侮辱し返した。ついに大騒動となり、軍部は11月28日に令状なしで27人の若者を逮捕した。ドイツ帝国議会は、宰相がこの事件について謝らないので、12月4日帝国議会創設以来初めての宰相不信任案を可決した。

村瀬興雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ツァーベルン事件」の解説

ツァーベルン事件(ツァーベルンじけん)
Zabern

1913年11月にドイツのエルザス州ツァーベルンで将校の住民に対する侮蔑的言辞によって惹起された軍と住民の衝突事件。その地の連隊長は,抗議デモンストレーションを行った住民を多数兵営に監禁した。この本来ささいな事件は,政府・軍当局が善処しなかったため内政的危機をもたらした。帝国議会において保守党を除く諸党が一致して史上初めて帝国宰相不信任を決議したが,皇帝は宰相の辞職を認めなかった。帝制衰退を示す一事件とみられる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android