翻訳|warrant
強制処分を行うことを命じまたは許可することを内容とする裁判官の発する裁判書をいう。憲法第33条は、逮捕の要件について規定し、何人(なんぴと)も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲(裁判官)が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない、としている。また、憲法第35条は、住居等の不可侵について規定し、何人も、その住居、書類および所持品について、侵入、捜索および押収を受けることのない権利は、憲法第33条の場合を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所および押収する物を明示する令状がなければ、侵されない(35条1項)としている。捜索または押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行うこととされている(35条2項)。
このようにして、憲法は、対人的強制処分についても対物的強制処分についても、強制処分を受ける者の人権を保障するため、原則として、裁判官の令状を必要とし、これによって強制処分の司法的抑制を図っており、これを令状主義とよんでいる。刑事訴訟法はさらにこの令状主義を具体化し、召喚状、勾引(こういん)状、勾留状、鑑定留置状、裁判所または裁判官が公判廷外で差押えまたは捜索を行う場合の差押状、捜索状(捜索令状)、さらに逮捕状、検証令状、身体検査令状、捜査機関が捜査の段階で差押えまたは捜索を行う場合の差押許可状、捜索許可状、および鑑定処分許可状について規定を設けている。
[内田一郎・田口守一]
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…刑事手続上の強制処分を行う場合には,裁判所または裁判官の令状が必要であるとする原則。憲法は〈何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有する司法官憲が発し,且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない〉(日本国憲法33条),〈何人も,その住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利は,第33条の場合を除いては,正当な理由に基いて発せられ,且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ,侵されない。…
※「令状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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