テトラシアノ白金(Ⅱ)酸バリウム(読み)テトラシアノハッキンサンバリウム

化学辞典 第2版 の解説

テトラシアノ白金(Ⅱ)酸バリウム
テトラシアノハッキンサンバリウム
barium tetracyanoplatinate(Ⅱ)

Ba[Pt(CN)4](436.47).白金シアン化バリウム(barium platinocyanide)ともいう.普通は四水和物.まずK2PtBr4にKCNを反応させてK2[Pt(CN)4]をつくり,その水溶液にBaCl2濃水溶液を加え,冷却しBa塩を沈殿させるか,水溶液中でH2[PtCl6],Ba(OH)2,HCN,SO2間の反応でも得られる.なお,このBa塩と硫酸または金属硫酸塩との複分解で,遊離酸やほかの金属塩が得られる.四水和物は単斜晶系.[Pt(CN)4]2-平面正方形型の錯イオンの平面が重なった構造をもつ.Pt-C約1.94 Å,Pt…Pt約2.32 Å.ほかの金属のM2[Pt(CN)4]も,いずれも同様に錯イオン平面が重なった構造で,MによりPt…Ptは3.1~3.8 Å.間隔が大きいものほど重なった平面相互のねじれは小さい.水100 g に約35 g 溶ける(20 ℃).弱酸性水溶液から得られたものは黄色の結晶で,密度2.08 g cm-3.蛍光は弱い.弱アルカリ性水溶液から得られたものは緑色の結晶で,密度0.85 g cm-3.蛍光は強い.二色性があり,透過光では黄色~緑色,反射光では赤色~紫色.X線用蛍光板の製造に用いられるほか,接着剤をまぜて,紙,木,プラスチック板などに塗り,紫外線,X線などの検査検出に用いられる.[CAS 562-81-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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