デフリンピック(読み)でふりんぴっく(英語表記)Deaflympics

翻訳|Deaflympics

デジタル大辞泉 「デフリンピック」の意味・読み・例文・類語

デフリンピック(Deaflympics)

聴覚障害者による国際的なスポーツ大会。ICSD(国際ろう者スポーツ委員会)が主催し、4年に一度行われる。夏季大会は1924年フランスで、冬季大会は1949年オーストリアで第一回が開催された。
[補説]deaf(聴覚障害)とOlympicsとの合成語身体障害者のスポーツ大会であるパラリンピックは、参加資格に聴覚障害を含まない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デフリンピック」の意味・わかりやすい解説

デフリンピック
でふりんぴっく
Deaflympics

国際ろう者スポーツ委員会(ICSD:International Committee of Sports for the Deaf)が開催する聾(ろう)者のための国際的な総合スポーツ大会。大会の運営も聾者が行い、役員や参加者は国際手話によってコミュニケーションをとる。夏季大会と冬季大会があり、2年ごとに交互に開催される。第1回夏季大会は1924年にパリで開催され、ベルギー、フランス、イギリスオランダポーランドハンガリー、イタリア、ラトビアルーマニアの9か国から145人の選手が参加した。この大会は世界初の国際的な障害者スポーツ大会である。第1回冬季大会は1949年オーストリアのゼーフェルトで行われた。日本は1965年の夏季大会(ワシントン)に初めて参加した。冬季大会には1967年のベルヒテスガーデン西ドイツ)から参加している。

 2017年時点で夏季大会で実施されている競技は陸上競技、バドミントンバスケットボール、ビーチバレーボールボウリング、自転車、ゴルフ、サッカー、ハンドボール、柔道、空手、オリエンテーリング、射撃、水泳、卓球、テコンドー、テニス、バレーボール、レスリング(フリースタイル・グレコローマンスタイル)、マウンテンバイク。冬季大会で実施されている競技はアルペンスキー、クロスカントリースキースノーボード、カーリング、アイスホッケーである。

 裸耳状態の聴力検査で、聴力の損失が55デシベル以上であり、各国の聾スポーツ協会に登録されていることが参加の条件となる。大会では、練習時も、試合時も補聴器の使用は認められていない。

 デフリンピックを主催するICSDは、1924年8月にパリで開催された聾者のスポーツリーダー会議において創立された。初代会長は自身聴覚障害者で自転車の選手でもあったフランスのE・ルーベンス・アルケEugène Rubens-Alcais(1884―1963)である。ICSDは聾者のスポーツを代表する国際組織で「Per Ludos Aequalitas(スポーツを通じての平等)」をモットーとし、夏季および冬季デフリンピックの開催等を通じて聾者のスポーツ参加機会の拡充と促進、より高いレベルの優れた競技者の育成を目的としている。2021年時点の加盟国は116。デフリンピックという名称は2001年から国際オリンピック委員会(IOC)の認可を得て使用するようになった。それまではInternational Silent Games やInternational Games for the Deafなどとよばれていた。なお、日本での2025年デフリンピック開催を目ざして招致活動が行われている。

[藤田紀昭 2021年10月20日]

『中村敏雄他編『21世紀スポーツ大事典』(2015・大修館書店)』

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知恵蔵 「デフリンピック」の解説

デフリンピック

国際ろう者スポーツ委員会(CISS:Comit(e) International des Sports des Sourds〈仏〉)が主催する聴覚障害者のための国際スポーツ大会。夏季大会と冬季大会がある。1924年8月に第1回大会がパリで開催された、最も古い障害者スポーツの国際大会。夏季大会では陸上、水泳、オリエンテーリング、バレー、バスケットなど20競技を行い、冬季大会ではスキー(アルペン、ノルディック)、スノーボード、アイスホッケーを行う。2005年1月、メルボルン(豪)で、第20回夏季大会が開催された。日本からは選手102人、役員33人が参加、バドミントンや水泳などで金3個、銀7個、銅1個のメダルを獲得。次回冬季大会は07年にソルトレークシティー(米)で、夏季大会は09年に台北(台湾)で開催される予定。

(藤田紀昭 日本福祉大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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