デュアルユース技術(読み)デュアルユースギジュツ

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

デュアルユース技術

軍民両用の技術。「デュアル」は両義性の意味で、介護福祉などの現場のほか戦場でも使えるロボット技術、病気の予防と生物兵器双方に活用されうるバイオ技術などが代表例だ。近年はさまざまな技術がデュアルユースとされる。

(2015-08-06 朝日新聞 朝刊 科学1)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

デュアルユース技術
でゅあるゆーすぎじゅつ
dual-use technology

民生用にも軍事用にも利用できる高度最先端技術。デュアルdualには「二重性」「両義性」の意味がある。英語名を略してDUTとよばれることもある。軍事用に開発した技術を民生用に活用するスピンオフspin offと、民生用に開発した技術を軍事用に使うスピンオンspin onの二通りの開発・利用プロセスがある。アメリカ国防総省高等研究計画局(DARPA(ダーパ):Defence Advanced Research Projects Agency)の前身機関が軍事目的で開発したインターネットや全地球測位システム(GPS)が広く民間で利用されるようになったのがデュアルユース技術の典型例である。原子力発電所内や戦場など過酷な環境で利用が見込まれるロボット技術、介護支援用と軍隊用に利用が研究されているパワードスーツ技術、気象・科学探査用と軍事用の利用が見込まれるロケット技術、病気予防・治療と生物兵器に利用されるバイオ技術などが該当する。
 第二次世界大戦後、アメリカではDARPAを中心に巨額の軍事・防衛研究費を投じ、可能性は低いものの、実現すれば社会や産業のあり方を大きく変える革新的技術を開発し、これを民生分野に適用して産業全般の技術水準を底上げする政策がとられてきた。DARPAの研究手法をモデルに、日本政府も2014年度(平成26)から、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT(インパクト))を始めるなど政府主導による研究開発に取り組んでいる。一方で、ビッグデータ、3Dプリンター、宇宙開発、遺伝子工学、サイバーセキュリティなどの民生用技術が高度化し、軍事目的に転用されるケースも増えてきている。このため軍事・防衛関係者からは、民生用・軍事用と目的を分けることなく、官民協力して高度先端技術の開発に取り組む「デュアルユース政策」が必要との指摘が出ている。一方で、高度技術の軍事目的に批判的な層からは、デュアルユース技術の利用に一定の歯止めが必要であるとの主張もある。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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