日本大百科全書(ニッポニカ) 「デューク大学」の意味・わかりやすい解説
デューク大学
でゅーくだいがく
Duke University
アメリカ合衆国ノース・カロライナ州ダーラムにある私立大学。メソジスト教会の付属学校だったこともあるデューク大学のモットーは、メソジストの聖歌に由来するといわれる「Eruditio et Religio(「知と信仰」という意味のラテン語。英語ではKnowledge and Religion)」である。
デューク大学は、1924年にダーラムの実業家ジェームズ・ブキャナン・デュークJames Buchanan Duke(1856―1925)によって、その父ワシントン・デュークWashington Dukeを記念して創設された大学である。デューク家は、タバコ生産会社で世界規模の金融資産を築き、ノース・カロライナ、サウス・カロライナ両州で電力開発事業も行っていた著名な一家である。
このデューク大学の前身は、地元のメソジスト教徒とクェーカー教徒の合同組織(ユニオン・インスティテュート)によって、ノース・カロライナ州ランドルフ郡に設立された私立学校であった。後にそれはトリニティ・カレッジTrinity Collegeと名称を変更し、ワシントン・デュークから8万5000ドルの寄付を、ジュリアン・S・カーJulian S.Carrから土地の寄付を得て、1892年に現在のデューク大学があるノース・カロライナ州ダーラムへと移転した。このトリニティ・カレッジが、デューク家の創設した慈善基金である「デューク基金」を財政基盤として、物理的にも学問的にも充実・拡大を遂げ、1924年にデューク大学という名称へと変更し、現在の姿になった。
キャンパスは、イースト・キャンパス、ウエスト・キャンパス、セントラル・キャンパス、メディカル・キャンパスに区分されている。創立当初のキャンパスはジョージア王朝風の建物に建て替えられ、これは現在イースト・キャンパスとして知られ、1995年より、すべての1年次学生が住み、学ぶためのキャンパスとして使用されるようになった。また、1930年に開設したウェスト・キャンパスは、64メートルの尖塔を誇るゴシック様式のデューク・チャペルを中心とした荘重なつくりになっている。
デューク大学は、アメリカ合衆国の大学ランキングで著名な『U.S. News and World Report』誌の2007年度ランキングで、州立大学トップ100のうち、第7位に選ばれるほどの名門難関大学であるが、なかでも医学が有名である。コーネル大学に続いて、医学大学院の分校を海外に進出させている(シンガポール校)だけでなく、大学病院は18年間連続でアメリカ合衆国の病院トップ10の一つに選ばれている。また、デューク大学は、iPod(アイポッド)を用いたユニークな教育を実施していることでも知られている。2004年から新入生にiPodを配布しており、学問の場におけるテクノロジーの活用と可能性を促進するプロジェクトの一環として行っている。学生数1万3088人(学士課程6244人、大学院生6844人)、教員数は1595人(いずれも2005年度)。
[小島佐恵子]