日本大百科全書(ニッポニカ) 「メソジスト派」の意味・わかりやすい解説
メソジスト派
めそじすとは
Methodism
Methodist Church
18世紀なかばにイギリス国教会(イングランド教会)内部に誕生した宗教運動で、ジョン・ウェスリー(ウェスレー)によって始められた。キリスト教プロテスタントの一教派。ウェスリーの死後、イギリス国教会から独立した。彼はカルビニズムを批判し、人間の救済に至る過程を段階的に明らかにした。彼は、宗教を生き生きとした体験のなかでとらえようとする福音主義的説教者であり、一般信徒が指導者となることの容認、バンド・クラスとよばれる信徒のグループ化、サーキット・ライダー(巡回牧師制)、野外説教など、特徴ある運動を進めた。
アメリカへは1760年代にもたらされ、バージニア州やニューヨーク州で定期的に集会が開かれた。アメリカ・メソジスト教会は、84年、フランシス・アズベリーFrancis Asbury(1745―1816)とトーマス・コークThomas Coke(1747―1814)が初代監督(ビショップ)に選出されたことによって正式に組織として認められた。メソジスト派は、19世紀初頭、西部の開拓地で目ざましい成功をおさめる。アズベリーは、アパラチア山脈を越え、広大な開拓地にメソジスムを伝える中心人物となった。たえまなく旅を続けて福音を伝え、デノミネーション(教派組織)を設立し、野外集会を開き、巡回牧師のモデルとなった。1840年には、アメリカ最大の教派にまで教勢を伸ばした。
1990年ごろから、バプティスト派、カトリック教会、ディサイプル、ルター派教会(ルーテル派教会)、モルモン教とともにアメリカにおけるキリスト教の六つの主要グループの一つといわれている。1995年時点で、アメリカのメソジスト派の信徒数は、連合メソジスト教会The United Methodist Church(信徒数約900万人)、アフリカ・メソジスト基督教会The African Methodist Episcopal Church(信徒数約350万人)など10以上のグループを合計すると1300万人以上で、これはアメリカの人口の約5%であった。
日本では1907年(明治40)に日本メソジスト教会が成立した(初代監督は本多庸一(よういつ))。2000年現在メソジスト系として、日本ホーリネス教団(信徒数約1万2700人)、イムマヌエル綜合(そうごう)伝道団(信徒数約3600人)、ウェスレアン・ホーリネス教会連合(信徒数約1600人)などがある。
[野村文子]
『山中弘著「アメリカにおける初期メソディスト派の動向」(井門富二夫編『多元社会の宗教集団』所収・1992・大明堂)』▽『山中弘著『イギリス・メソディズム研究』(1990・ヨルダン社)』▽『Frederick A. NorwoodSourcebook of American Methodism(1982,Abingdon)』▽『A. Gregory SchneiderThe Way of the Cross Leads Home――The Domestication of American Methodism (1993,Indiana University Press)』