トカチ場所・ヒロウ場所(読み)とかちばしよ・ひろうばしよ

日本歴史地名大系 「トカチ場所・ヒロウ場所」の解説

トカチ場所・ヒロウ場所
とかちばしよ・ひろうばしよ

東蝦夷地に設定された場所の一つ。その境は西は「ヒタヽヌンケ」(現広尾町)川中をもってホロイヅミ場所に、東は「チョクヘツ」(直別川)をもってクスリ場所(初めシラヌカ場所)に接し、南東は海に面する。海岸筋は二三里三二町三四間。往古クスリ場所との境は西方の「ヲコツヘ(現浦幌町)に設定されていたが、役人通行が増えたため直別ちよくべつ川に渡守を置く必要が生じ、クスリ・トカチ両場所のアイヌ隔年で渡守を勤めるようになり、やがて同川がクスリ・トカチ両場所の境目となったという。内陸部シャマニ場所・シツナイ場所・サル場所との境はカモイノホリ岳などのある日高山脈中に、イシカリ場所との境は十勝川最上流の石狩山地中に各々設定されていた(場所境調書)。場所名は戸勝とも記され(「東蝦夷地場所大概書」など)、「場所境調書」には「当時トカチ会所と申候は、元ヒロヲと申候に有之(中略)ヒロヲは唱悪敷候ニ付、幸此場所内トカチと申大川有之候間、右相改候由に有之候」とあり、「蝦夷人物誌」には「其場所名トカチは川の名にして、会所元は原はビロウと呼なせしを、其呼声の不穏に依て今会所元もトカチと呼なせり」とあって、初め会所の置かれたヒロウ(ビロウ・ビロヲ、現広尾町)にちなみヒロウ場所とよばれていたが、その後トカチ場所と改められたことになる。

設定された時期は不明だが、クスリ場所と同様一六二〇―四〇年代とも考えられる。六六年(寛文六年)六月、トカチ場所知行主である松前藩家老蠣崎蔵人広林からトカチ明神社(現広尾町十勝神社)に円空作の観音像(現同町禅林寺蔵)が納められていることから、同年以前にさかのぼるとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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