トマト(読み)とまと(英語表記)tomato

翻訳|tomato

デジタル大辞泉 「トマト」の意味・読み・例文・類語

トマト(tomato)

ナス科の多年草。栽培上は一年草。高さ1~1.5メートル。葉は羽状複葉。全体に白い毛があり、特有の匂いがある。夏、黄色い花を開く。実はやや平たい球状で赤く熟す。南アメリカのアンデス山脈の高地が原産で、日本には明治後期に渡来。生食のほかジュースケチャップに加工。蕃茄ばんか。あかなす。さんごじゅなす。 夏》け土にしづくたりつつ―食ふ/鳳作」

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精選版 日本国語大辞典 「トマト」の意味・読み・例文・類語

トマト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] tomato ) ナス科の一年草。南アメリカ原産で、重要な果菜として世界的に栽培され、おびただしい数の栽培品種がある。高さ〇・五~一・五メートル。全体に白い軟毛を密生し特有の臭気がある。葉は羽状複葉で長さ一五~四五センチメートル、小葉は卵形または長楕円形で五~九対。花期は一般に夏で、葉腋に総状花序を出す。花は径二センチメートルぐらいで黄色。果実は液果で、形や色や大きさは多様性に富む。日本では扁球形・球形・楕円形の品種が多い。果色は紅色が多く、他に黄色、白色などもみられる。生食するほかソース・ケチャップ・ジュースなどの原料になる。漢名、小金瓜・蕃茄。あかなす。さんごじゅなす。とうがき。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「府下其氏の菜園に蕃茄(洋名トマト、和名あかなす)を植付しが」(出典:新聞雑誌‐六九号(1872)一一月)

トマトの補助注記

「大和本草‐六」(一七〇九)に「唐がき」という名で現われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トマト」の意味・わかりやすい解説

トマト
とまと / 蕃茄
tomato
[学] Solanum lycopersicum L.
Lycopersicon esculentum Mill.

ナス科(APG分類:ナス科)の多年草。栽培上は一年草として扱われる。茎は長さ1~2メートルになるが、自然には直立できず地面にはう。茎の下部が地面に接するところからは不定根を出す。葉は長さ15~45センチメートルの羽状複葉で、柔毛がある。小葉は5~9対で、長さ5~7.5センチメートル。花は黄色で直径約2~3センチメートル、花冠は5ないし10片に深裂する。葉腋(ようえき)に3~7花が房になってつく。果実の内部は数室に分かれ、多数の種子が入っている。果実の形は品種によって大小さまざまで、また果色も赤、紅、黄色などである。日本では生食用には桃紅色の果実が好まれるため、ほとんどが桃紅色の品種である。また、直径2~3センチメートルの赤または黄色の果実を房成りにつける品種や、卵形や西洋ナシ形の小形の果実の品種も普及している。

[星川清親 2021年6月21日]

栽培

苗床に種子を播(ま)いて苗を育て、畑やハウスに定植する。葉腋から盛んに腋芽を出して茂るが、日本で生食用果実を得る目的で栽培するときには、腋芽を全部摘み取って1本の茎だけを、支柱を立てて仕立てることが多い。ジュースやケチャップなど加工用の目的で栽培する場合には、支柱をせず腋芽も摘まずに育てる無支柱栽培が行われる。低温には比較的強いが、1回でも霜に当たれば枯死する。土壌病害である青枯病に侵されると、急に茎の先からしおれ、数日中に地上部全体に及んで枯死する。土壌伝染性の病害を避けるため、トマトはもとよりナス、ジャガイモなどナス科の作物との連作は避け、また土壌病害抵抗性の台木専用トマト品種、たとえばBF興津(おきつ)101号などに接木(つぎき)もされる。自然の旬(しゅん)は夏であるが、現在では促成・抑制栽培などによって一年中生産される。しかし低温期の栽培では着果不良になりやすく、パラクロルフェノキン酢酸(商品名「トマトトーン」)を花房に噴霧して着果と果実の肥大を促進させている。なお、現在日本で経済的に栽培されている品種はすべて一代雑種品種(F1(エフワン))である。

[星川清親 2021年6月21日]

起源と伝播

トマトの起源と普及は新しく、栽培トマトの成立は紀元後1000年ころと推定されている。現在広く世界で栽培されているトマトの祖先種は、その一つの変種ケラシフォルメvar. cerasiforme Alef.である。これには野生型と、もっとも原始的な栽培型がある。この分布地域はトマト属の野生種と同じくエクアドルからチリ北部に至る幅150キロメートルの狭長な海岸地帯(赤道から南緯30度)であるが、さらに北はメキシコの南部から中央部の東海岸沿いの低地にまで及ぶ。とくにベラクルスを中心として豊富に自生し、その栽培型も明らかに栽培トマトとの移行型を示す種々な型がある。したがって、トマト属野生種の中心であるペルーにおいてケラシフォルメの野生型から栽培型が成立して、メキシコ地域において現在みられるもっとも進化したトマトが成立している点から、メキシコ起源であると考えるのが正しい。この地域はアステカ文化圏で、アステカ人は好んでホオズキを食用に供し、トマトに似たホオズキの育成・栽培をしていることから、ケラシフォルメの栽培と育成に努めたことが想像できる。またアステカ人はその栽培トマトの品種の語尾にナワトゥル語のトマトルtomatlをつけた。このことばが世界各国に伝播(でんぱ)した。

 「新大陸発見」後、1523年のスペインのメキシコ征服後、スペイン人によってヨーロッパに入り、1544年イタリアに、1575年イギリスに、さらに中欧諸国に伝播した。最初は観賞用で、食用に供したのは18世紀以降である。アメリカには18世紀末にヨーロッパから入ったが、19世紀末までは普及しなかった。アジアへはスペイン人によって太平洋経由でフィリピンに入り、1650年以降マレーシア東部でも栽培された。日本へは寛文(かんぶん)年間、1670年ころに長崎に伝来し、『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)に記載されている。その後、明治初年に開拓使によって欧米から品種が導入され、赤茄子(あかなす)の名で試作された。しかし当時は独特の臭みのため普及せず、大正時代に入って、北海道と愛知県を中心として栽培が増加したが、現在のように普及をみたのは第二次世界大戦後である。

[田中正武 2021年6月21日]

食品

トマトは健康によい食品とされており、「トマトが赤くなると医者が青くなる」「トマトのある家に胃病なし」などといわれている。果実の成分は95%が水分で、タンパク質0.7%、脂質0.1%、糖質3.3%、繊維0.4%、灰分0.5%を含む。ビタミン類の含量に優れ、100グラム当りカロチン390マイクログラム、ビタミンC20ミリグラム、B10.05ミリグラム、B20.03ミリグラムのほか、B6、K、P、M、ルチン、ナイアシンなども含む。甘味の成分は果糖とブドウ糖、酸味の主体はクエン酸とリンゴ酸である。生食用のほか、加工用として缶詰、ジュース、ピューレ、ペーストなどにされ、それぞれ生食用品種、加工用品種がある。加工用は汁気が少なく、皮も堅くて生食用には適さない。生食用トマトは、流通経路でのいたみを少なくするため、果実が緑色で堅いうちに収穫し、小売店の店頭でちょうど食べごろになるように出荷する。しかしこのようなものは、畑で完熟させた果実に比較して食味が劣る。そこで最近では、とくに完熟トマトと表示された、完熟した果実を収穫したものが店頭に出回るようになった。トマトの皮は、果実を熱湯にくぐらせると手で容易にむけるようになる。

[星川清親 2021年6月21日]

 トマトは料理の付け合せ、サラダ、スープ、シチューミートソースなどに用いる。トマト特有の青臭いにおいは青葉アルコールとよばれる成分を中心にしたもので、これは生臭みを消す働きがある。そのため、シチューやミートソースなどをつくるとき、肉とともに煮込むと肉の臭みが消える。加熱調理には適熟トマトのほか水煮あるいはトマトジュース漬けにした缶詰が利用できる。糖分の多い小粒のトマトも多く出回り、これらは料理の飾りやデザートのフルーツのかわりとしても食べることができる。

[河野友美 2021年6月21日]

『農山漁村文化協会編・刊『野菜園芸大百科2 トマト』(1988)』『青木宏史著『トマト 生理と栽培技術――野菜栽培の新技術』改訂版(1998・誠文堂新光社)』『小沢聖・佐藤百合香編著『加熱調理用トマト クッキングトマトの栽培と利用――美味しいトマト料理を食卓へ』(2000・農山漁村文化協会)』


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改訂新版 世界大百科事典 「トマト」の意味・わかりやすい解説

トマト
tomato
Lycopersicon esculentum Mill.

ナス科の一年草で,果実を食用とする重要な野菜の一つ。アカナスとも呼ばれた。アンデス西斜面のペルー,エクアドル地方の原産。熱帯から温帯地方にかけて広く栽培されている。温帯では一年生,熱帯では多年生になる。茎は1~1.5mに達し,直立ないし匍匐(ほふく)し,基部の地につく部分からは容易に不定根を出す。葉は多数の小葉からなる羽状複葉で茎に互生し,花房は通常茎の基部から数えて7~9節の節間に形成されるのをはじめとして,順次,先端に向かって3節間おきにつくのが普通である。花房は総状花序で4~10数花よりなり,個々の花は両性,合弁で,花弁は5~6裂し,黄色ときに白色を呈する。果形は球形,卵形,円筒形,扁円形などで,重さは10~500g,熟して朱紅色,紅色または黄色となる。植物全体に特有の臭気があるが,この臭気は黄色透明の揮発性油による。

 アンデス高原地方では,アメリカ大陸発見以前からトマトが食用として栽培されていたといわれ,インディアンの移住によってアンデス高原からしだいに中央アメリカやメキシコに伝播(でんぱ)した。ヨーロッパへは大陸発見後,16世紀の初めにイタリアに導入されたが,当初は観賞用として栽培されたにすぎず,18世紀中ごろになって食用として栽培されるようになった。北アメリカへは18世紀の後半に導入された。アメリカ,イタリア両国では19世紀に入って急速に栽培が増加し,現在世界の主要な生産国となっている。日本へは18世紀初めの貝原益軒の《大和本草》に〈唐ガキ〉と記されていることから,それ以前に南方や中国を経て渡来したとみられている。当時は観賞用として栽培されるのみで,食用としての栽培は,明治初年,開拓使による新品種の再導入を機に始まる。しかし食味が一般の嗜好(しこう)にあわず,栽培は大正末ごろまでわずかであった。昭和に入ってから食生活の洋風化に伴って需要が増加し,また加工利用の道も開けて,その栽培は急速に増えた。各種の作型が発達し,生果は年間を通じて供給され,一方,総生産量の20~25%は加工用に回されている。主産地は熊本,千葉,茨城,愛知県である。

 明治初年から昭和初めにかけては,アメリカやイギリスから多くの品種が導入されたが,それらのうち桃色大果で酸味の少ないポンデローザが歓迎され,広く栽培された。また導入された品種をもとに選抜淘汰や交雑育種も試みられ,1935年ころからしだいに導入品種に代わって,日本で育成された品種が主体を占めるようになった。第2次世界大戦後は一代雑種育種が盛んになり,福寿2号,新星,ひかり,宝冠2号,栄冠などの大果で酸味の少ない品種が多数発表された。近年は料理用の酸味の強い小果品種も見なおされ,家庭用ミニトマトとして栽培が広がっている。しかし産地の固定化が進み連作が重なると,種々の病害,とくに青枯病など土壌伝染性の病害が栽培上問題となる。このような状況のなかで耐病性育種も進み,現在広く栽培されている品種は,ほとんど耐病性品種となっており,また接木用の耐病性台木品種も開発されている。トマト栽培の作型は大別して次の5通りがあり,年間を通じての供給が維持されている。(1)露地栽培 3月まき,6月下旬~8月収穫。(2)促成栽培 9~10月まき,2月上旬~5月中旬収穫。(3)半促成栽培 11月まき,4~6月収穫。(4)高冷地抑制栽培 4月まき,8月下旬~10月下旬収穫。(5)ハウス抑制栽培 7月上旬~中旬まき,10~12月収穫。いずれも育苗,定植して栽培し,生果用には支柱を立てて仕立てるが,世界的にみれば無支柱の栽培が一般である。

 トマトの果実成分は水分95%,全糖3~4%(ショ糖が主で,果糖,ブドウ糖を含む)。酸類は0.5%でクエン酸を主とし,シュウ酸,リンゴ酸も含む。またビタミン類に富み,とくにAとCが多い。灰分はカルシウム,カリウム,リンなどが多く含まれる。その他アデニン,トリゴネリン,アルギニンを含む。果実の赤色はリコピン,橙黄色はカロチンによる。トマトはビタミン食品であるだけでなく,アルカリ食品としての意義が大きい。生食するほか,料理にもいろいろ使われ,加工品としてジュース,ピュレーパウダー,あるいは調味料を加えたトマト・ケチャップやトマト缶詰がある。また観賞用とされる品種もある。
執筆者:

サラダ,サンドイッチの具などとして生食するほか,ジュース,ピュレー,ケチャップなどの原料にする。また,スープ,ソース,シチューなどの煮込み,バター焼き,蒸焼きなどにする。スタッフドトマトは,トマトをくりぬいてケースをつくり,サラダを詰めて付合せにしたり,ひき肉,タマネギなどをいためて詰め,オーブンで焼いたりする。フランスでは裏ごししてつくったピュレーをいろいろな料理に使い,イタリアではトマトを刻んで,肉,ニンニク,タマネギなどとともに油でいため,スープでのばしたものをスパゲッティその他に多用する。この方式の利用は日本ではあまり行われていないが,カレーやシチューに加えても美味であり,もっと多面的に使いたいものである。
執筆者:


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食の医学館 「トマト」の解説

トマト

《栄養と働き》


 南米ペルー原産のナス科の野菜です。わが国へは江戸時代初期に入ってきました。当初は観賞用で、「唐柿」(からがき)と呼ばれていました。本格的に食用として使われはじめたのは、明治時代以降です。
 おもにピンク系、赤系、ファースト系、ミニトマトの4種類があります。ピンク系の代表格が「桃太郎」で、くせがなく、甘みがあるのが特徴です。
 ファースト系はハウス栽培もので、先が尖っているのが特徴。甘みと酸味のバランスがよく、肉質がしっかりしています。
 プチトマト、チェリートマトとも呼ばれるミニトマトは、サンチェリー、ミニキャロルなどの品種があります。
 甘みが強くて多汁質。家庭菜園でも手軽につくれるのが魅力です。
〈各種ビタミンとピラジンで動脈硬化を予防〉
 ヨーロッパでは昔から「トマトのある家に胃腸病なし」といわれるほど、その薬効が信じられていたようです。トマトに含まれるさまざまな成分の働きをみると、それも理解できます。
○栄養成分としての働き
 トマトにはカリウム、カロテン、ビタミンC、B群、毛細血管を強くするケルセチンなどが含まれています。
 カリウムは体内のナトリウムを排泄(はいせつ)して血圧を下げ、血管を丈夫にするケルセチンとともに心疾患や動脈硬化を予防。ケルセチンはCの体内利用を高める働きもするので、肌をきれいにしてくれます。
 血液をサラサラにするといわれるピラジンという香り成分も含んでいます。
 ピラジンはパセリ、ニラ、タマネギ、セロリ、ホウレンソウなどにも含まれている成分で、血小板凝固を抑制する働きがあります。つまり、血栓(けっせん)を防ぐ効果があり、動脈硬化予防に有効です。
 そしてなにより注目したい成分が、リコピンです。リコピンはカロテンの1つで、ジュースやピューレ、ケチャップなどに使われる赤系トマトに多く含まれています。
 これは、トマトの赤みをつくっている色素で、抗酸化作用があり、活性酸素を消す働きをするため、がんの抑制に効果的に働くといわれている成分です。
 また、低カロリーで、少量でも満腹感を得られるので、ダイエット中の人には最適な野菜といえます。血をきれいにして脂肪の消化を助ける作用もあります。
 トマトの酸味はクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸。これらは胃のむかつきを解消し、気持ちをリフレッシュさせたり、疲労回復に効果があります。
 さらにアミノ酸の一種であるグルタミン酸などが多く、イノシン酸の多いシーフードなネギ属どと煮込み料理にすると、アミノ酸の相乗効果でうまみが強くなり、おいしくなります。頭がボーッとして働かないときなどに食べてみましょう。
 食物繊維であるペクチンも多く含むので、コレステロール値の低下、便秘(べんぴ)改善にも役立ちます。
〈ビタミンCが豊富なミニトマト、その他加工品もおすすめ〉
 栄養成分的にみると、ミニトマトのほうがカロテン、Cが豊富です。鉄、カリウム、亜鉛などのミネラル分の含有量も上回っています。
 ふつうのトマトよりも赤みが強いので、リコピンの含有量も多いのが特徴です。
 小さくて、料理のアクセントとして気軽に使えるので、彩りを添えるつもりでいろいろな料理に利用するといいでしょう。
 トマトの加工品には水煮にしたホールトマト、ピューレ、ジュースなどがあります。リコピンを効率よくとるには、トマトジュースがおすすめです。しかし、市販のものは塩分が入っているものが多いので、気になる場合は、無塩のものを飲むようにしましょう。
 トマトの加工品で最近注目されているのが「ドライトマト」です。
 トマトを2つ割りにして塩をふり、日光にあてて乾燥させたものです。ふつうのトマト同様に、いろいろな料理に使われますが、前菜や、肉・魚料理のつけあわせ、パスタ、ソースに加えたりします。
 独特の甘みとコクがあるのが特徴です。

《調理のポイント》


 1年中出回っているトマトですが、露地ものの旬は夏です。栄養的にも夏のものはビタミンC、カロテンともに豊富です。夏はトマトを積極的に利用しましょう。
 トマトには強い酸味がありますが、肉料理などに加えると、塩を減らしても味付けがしっかりし、脂肪分も抑えられます。また、トマトには魚のにおいを消して、身を引き締める作用もあります。
 抗酸化作用のあるリコピンは、脂肪分を少しとったほうが吸収率が高くなるので、油っぽいものといっしょに食べるといいでしょう。
 リコピンを大量にとれる料理法を1つ。皮をむいて粗く刻み、ニンニクやタマネギと煮込んでシチューやパスタ料理のソースとして使ってみましょう。リコピンがとれるだけでなく、クエン酸の働きで肉の消化を促進します。
 夏バテのときは、トマトジュースとスイカジュースを2分の1カップずつミックスしたドリンクを飲みましょう。また、空腹時に胃が痛むという人は、自家製トマトジュースをつくってみましょう。空腹時に胃が痛むのは胃酸過多(いさんかた)による場合が多いので、トマト、ニンジン、セロリなどをミックスしたジュースを飲むと、胃液が中和されて刺激が少なくなります。カロテンが多いので、胃の粘膜(ねんまく)を保護する働きもします。
○注意すべきこと
 トマトを食べるにあたって気をつけたいのは、冷え症の人、胃弱の人は冬に生のものをあまり食べないようにすることです。トマトには体を冷やす作用があるので、なるべく煮たり炒(いた)めたりして食べましょう。
 トマトのリコピンの活性酸素除去作用を高めるには、ビタミンEとの組み合わせがベストです。トマトのサラダにゴマドレッシングをかけたり、スライスアーモンドをちらして食べると効果的です。

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百科事典マイペディア 「トマト」の意味・わかりやすい解説

トマト

1991年英国で結成されたグラフィック・デザイン・グループ。1990年代の先端を行くタイポグラフィー作品で世界的な注目を集める。結成時にはスティーブ・ベーカー,ダーク・バン・ドゥーレン,カール・ハイド,リチャード・スミス,サイモン・テーラー,ジョン・ワーウィッカー,グレアム・ウッドが参加。のちにグレッグ・リー,ジェーソン・ケッジリー,ディラン・ケンドルが加わる。メンバーが各自異なるスタイルを追求し,別個のプロジェクトを手がける〈緩い〉関係で結ばれたグループだが,タイポグラフィーをより自由でエモーショナルな表現言語として解き放とうとする姿勢はほぼ共通している。代表作にジョン・ワーウィッカーとカール・ハイドによる書籍《スカイスクレーパー》(1994年)など。ミュージック・ビデオ,ナイキやペプシの広告映像のほか,CD-ROMも手がけている。メンバーのひとりカール・ハイドは,人気テクノ・バンド〈アンダーワールド〉のメンバーとしても知られ,自らCDジャケットのデザインも行っている。

トマト

ナス科の野菜。熱帯では多年草,温帯では一年草。南米原産で,メキシコで栽培トマトに分化した。茎には短毛があり,葉は5〜9枚の小葉からなる羽状複葉で鋸歯(きょし)がある。夏,数個の黄色花を開く。果実はふつう球形,成熟すると赤色になるが,黄色などもある。高温を好み,霜には弱い。ヨーロッパへは16世紀に導入されたが,初めは観賞用で,食用にされたのは18世紀以後といわれる。日本には18世紀初めに渡来し,昭和になって食用として普及。加工利用の道が開けてから栽培は急にふえ,生果は年間を通じて供給される。流通の主体は完熟型トマト。ミニトマトも普及してきた。果実にはビタミンA,B1,B2,Cが豊富で,生食のほかケチャップ,ピュレー,ソース,ジュースなどにする。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トマト」の意味・わかりやすい解説

トマト
Lycopersicon esculentum; tomato

ナス科の大型の一年草。南アメリカのアンデス山脈からメキシコにかけての原産といわれ,ペルーやボリビアなどの先住民族インディオによって栽培されていた。 16世紀なかばにヨーロッパに伝えられ,現在では世界中の温帯から熱帯で広く栽培され,最も代表的な果菜となっている。生食用のほかジュース,ケチャップ,ピューレなど加工食品としての生産が特に多い。日本には 17世紀初期に観賞用として伝えられ,食用として栽培されるようになったのは明治の後期になってからである。アカナスの和名もあるが今日ではほとんど使われない。茎は軟らかく,まばらに分枝し,1.5m以上の高さになる。葉は互生し,羽状複葉で長さは葉柄とともに 40cm以上にもなる。葉,茎ともに強い青臭さをもつ。夏に,節間から花枝を出し,数個の黄色花を総状花序をなしてつける。花は径2~3cmの星形の花冠をもち,5弁で基部が癒合する。果実は液果で初め緑色であるが,熟すると紅色,桃色または橙色になる。品種が多く,果実の色や形に変化が多い。

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栄養・生化学辞典 「トマト」の解説

トマト

 [Lycopersicon esculentum].ナス目ナス科トマト属の一年草.果実を食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のトマトの言及

【周年栽培】より

…キャベツの場合を例にとれば,春と秋には都市近郊の産地で,夏から初秋にかけては標高の高い冷涼地帯で,冬から春にかけては冬季温暖な地帯で露地栽培されたものが出荷されている。一方,トマトのように霜にあうと枯死してしまう種類では,冬から春にかけては冬季温暖な地帯や都市近郊の産地でハウスなどを利用して栽培されたものが出荷され,夏から秋にかけては耕地面積の広い露地栽培地帯から出荷されている。【杉山 信男】。…

※「トマト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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