ベラクルス(読み)べらくるす(英語表記)Veracruz

翻訳|Veracruz

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベラクルス」の意味・わかりやすい解説

ベラクルス
Veracruz

正式名称はベラクルスヤベ Veracruz Llave。メキシコ中部,ベラクルス州中部の都市。同国のメキシコ湾側の最大の港湾都市で,メキシコ市の東約 300kmにある。 1519年 H.コルテスにより現在地からやや離れた地点に最初のスペイン人入植地が建設されたが,のちに放棄され,99年頃現在地に新しい町が建設された。この町も高温多雨で標高わずか 15mの低湿砂浜に立地し,衛生状態は概して悪かったが,植民地時代にはスペインと結ぶメキシコの主要港として繁栄。このためしばしば海賊に襲撃されたのをはじめ,フランス軍,アメリカ合衆国軍,さらに 1821年の独立ののちは多くの革命政府によって占領されるなど,メキシコ史上きわめて重要な役割を果した。現在ドック,倉庫などの港湾施設が整備され,背後に農業地帯およびオリサバプエブラなどの工業都市を控えて,それらの積出港として発展。市内には石油精製,造船,食品,セメント,化学,石鹸,繊維などの工業が立地。ベラクルス工科大学 (1957) 所在地。陸上交通の要地でもあり,メキシコ内陸および沿岸の各地と結ぶ鉄道,道路が集る。人口 32万 7522 (1990推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベラクルス」の意味・わかりやすい解説

ベラクルス
べらくるす
Veracruz

メキシコのメキシコ湾岸、ベラクルス州にある港湾都市。正称はベラクルス・ヤベ。人口41万1582(2000)。同国最大の貿易港であり、造船業や石油工業も発達している。1519年にH・コルテスが建設し、アステカの都への侵略基地となった。16~17世紀にはスペイン植民地下の特許港として、コロンビアカルタヘナパナマのポルトベリョと並び繁栄した。独立時の共和制宣言やその後の憲法発布はここで行われた。1838年にはフランス軍の、1847年と1914年にはアメリカ軍の侵入を受けた。海水浴場モカンボ、保養地のカテマコ湖、アルマス広場やウルア要塞(ようさい)の名所、メキシコ一のカーニバル近海の新鮮な魚貝類などが観光客をひきつける。

[高木秀樹]

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