トラムンタナ山脈の文化的景観(読み)トラムンタナさんみゃくのぶんかてきけいかん

世界遺産詳解 の解説

トラムンタナさんみゃくのぶんかてきけいかん【トラムンタナ山脈の文化的景観】

2011年に登録された世界遺産(文化遺産)。トラムンタナ山脈の文化的景観は、スペイン本土から東に約230kmのバレアルス諸島自治州のマヨルカ島マジョルカ島)の北西海岸に並行する切り立った山脈上に位置している。地中海に浮かぶ山岳地帯で、農業には不向きな地形と気候である。しかし島民は、物資の限られるなかで、急斜面に石を積み上げて石垣棚田をつくり、棚田同士は石橋をかけて農業用水路でつなぎ、水車の利用などで貴重な水を全農地に行き渡らせるといった作業を1000年以上にわたって続けてきた。こうした島民の努力と工夫によって、山岳地帯はその姿のまま農業地帯に変貌していった。その魅力は、荒削りな山岳地帯の自然のなかで人間の知恵を駆使した農業が営まれているという自然と文化が一体化した農業システムにある。山地に点在する棚田が、水路で一体化され、オリーブやブドウなどの果物や野菜が育つ生産性の高い農業を実現したのだ。◇英名はCultural Landscape of the Serra de Tramuntana

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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