トランシルヴァニア地方の要塞教会群のある集落(読み)トランシルヴァニアちほうのようさいきょうかいぐんのあるしゅうらく

世界遺産詳解 の解説

トランシルヴァニアちほうのようさいきょうかいぐんのあるしゅうらく【トランシルヴァニア地方の要塞教会群のある集落】

1993年に登録、1999年に登録内容が変更されたルーマニアの世界遺産(文化遺産)で、同国中部のトランシルヴァニア地方にある。13世紀にこの地に入植したザクセン人(ドイツ人)は、国王の保護の下に商業活動の自由、土地の自由処分権などを獲得して、経済発展した。彼らは、15世紀から17世紀にかけて、周辺の遊牧民族の攻撃から集落を守るために教会を頑丈にし、要塞化していった。さらにオスマン・トルコ侵略から村を守るために防壁を造った。戦時には軍事拠点としての役割を果たした教会は、見張り塔を持ち、外敵に包囲された場合でもしばらくは持ちこたえられるように、水や食糧などの生活物資を備蓄していた。1600年頃、このような要塞教会は300ヵ所もあったといわれている。これら要塞教会の建築様式はバロック調であるが、内部は質素な造りになっている。トランシルヴァニア地方は、山岳丘陵平地と変化に富んだ地形をしていて、そのなかで近世に建てられた要塞教会が、平穏な農村風景を背景に美しい文化的景観を保っている。このような魅力が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はVillages with Fortified Churches in Transylvania

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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