ドデカテオン(英語表記)Dodecatheon

改訂新版 世界大百科事典 「ドデカテオン」の意味・わかりやすい解説

ドデカテオン
Dodecatheon

サクラソウ科多年草。原産地はおもに北アメリカで約30種があり,和名カタクリモドキという。園芸的には日本ではあまり栽培されてはいないが,ドデカテオン・メアディアD.meadia L.(英名shooting star,American cowslip,prairie pointer),ドデカテオン・パトゥルムD.patulum Greene(=D.clevelandii Greene ssp.patulum (Greene) Thomps.),ドデカテオン・ヘンデルソニイD.hendersonii A.Gray,ドデカテオン・アルピヌムD.alpinum Greeneなどが山草として栽植される。草丈は種類により異なるが,10~30cm,長楕円形~倒卵形葉を根生し,抽出する花茎頂端の散形花序に花弁が反転し,カタクリまたはシクラメンに似た花様の小花を多数つける。花色は多くは赤桃色で基部は黄色となるが,白色花のものもある。花は長さ1.5~2.5cm。花期は5~6月。洋種山草として鉢植えにされることが多いが,ロックガーデンにも用いられる。夏季冷涼な気候を好むため,日本では,冷涼地を除きやや栽培しにくい。繁殖株分けまたは実生によるが,鉢用土は排水,保水性に富むものを用い,夏は半陰地で通風を心がける。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドデカテオン」の意味・わかりやすい解説

ドデカテオン
どでかておん
[学] Dodecatheon

サクラソウ科(APG分類:サクラソウ科)の耐寒性多年草。北アメリカとアジアの山岳地帯の水辺草原に約50種分布する。鉢植え、花壇、ロック・ガーデンに利用される。春、地下の根茎から出た葉叢(ようそう)の中心に花茎を抽出し、その先にシクラメンのように反転した花を多数散形状につける。花期後、地上部は枯れ、翌春まで現れない。よく栽培されるメアディア種は北アメリカ東部原産。葉に紫斑(しはん)があり、カタクリの葉に似るのでカタクリモドキともよばれる。5~6月、桃色の花を10~20花つける。

[植村猶行 2021年3月22日]

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