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ドバイ金融ショック どばいきんゆうしょっく

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知恵蔵2015の解説

ドバイ金融ショック

アラブ首長国連邦(UAE)を構成するドバイ首長国政府の持ち株会社であるドバイ・ワールドや、その傘下の不動産開発会社ナキール社が、2009年11月25日に約600億ドル(約5兆円)の債務返済の繰り延べを要請したことに端を発する金融不安。ドバイ・ショックとも言う。日本でも、少なからずドバイ関連債権を保有している銀行や、ドバイの事業を受注しているゼネコンなどの企業がその影響を受けたが、日本経済全般に大きな影響を与えたのは、ドバイ金融ショックに端を発する円高である。
ドバイでは、世界有数の高さを誇る超高層ビル群や、椰子(やし)の木の形が宇宙からも望めるという人工島、パーム・ジュメイラをはじめとする巨大なリゾート開発などが急速に進められてきた。アラブ首長国連邦は産油国として有名だが、首長国の一つであるドバイ首長国の石油埋蔵量は少ない。このため、石油依存の経済から早期に脱却することを余儀なくされていた。ドバイが早くから経済特区の設置や各種の巨大プロジェクトを進め、中東の商業・金融センターとしての役割を強めていたのはこのためである。それらの資金の調達は、英国などヨーロッパを中心とした諸外国の金融機関や、世界最大の投資機関であるアラブ首長国連邦の政府系ファンドアブダビ投資庁(ADIA)などからの出資によって支えられていた。ところが、08年のリーマン・ショック以降の投資引き上げや、開発物件の売れ行き激減からドバイの不動産価格が半減した。この影響からドバイ・ワールドなどの資金繰りが悪化し、債務返済が滞った。
ドバイ金融ショックにより、もともと安値傾向にあるドルに加え、金融機関が多額のドバイ関連債務を抱える欧州のユーロの信頼も揺らぎ、為替市場では比較的「安全」と考えられた円、商品市場では金が買い進められた。この結果、円高が進み、日本の株式市場では、円高で利益が減少する輸出産業の株が売られて株安を招いた。翌26日の欧州株式市場で金融株が売り込まれ、翌27日には一時1ドル=84円台まで円高が進行し、日本の株式市場も大幅に下落した。ドバイは世界の金融市場全体からすれば規模は小さく、アラブ首長国連邦中央銀行の資金供給などもあり、ナキール債償還がドバイ政府から発表されるに至り、事態はおおむね沈静化した。ただし、今後の新興国向け投資の信用に不安感が広がるなどの影響が残ることが懸念されている。

(金谷俊秀  ライター / 2009年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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