ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクトム」の意味・わかりやすい解説
マクトム
Maktūm, Rāshid ibn Sa`īd, Sheikh Āl
[没]1990.10.7. ドバイ
アラブ首長国連邦 UAEの政治家。副大統領(在任 1971~90),首相(在任 1979~90)。近代ドバイ首長国の創設に大きく貢献した。1971年の UAE独立時における政治的指導者。サイード・アル・マクトムの息子として生まれ,現地でアラビア語による教育を受ける。1958年,入江に位置する交易集落を統治する。1966年に石油が発見されると,それによって生じた新たな富を投じて入江を浚渫(しゅんせつ)し,ドバイの石油を船舶輸送するために深水港を建設した。さらに空港の建設や新しい産業の育成,先進医療など公共サービスの拡充に石油による収入を投じた。1968年,イギリスが 1971年末までにペルシア湾から軍隊を撤退させると発表すると,姻戚にあたる近隣のアブダビ首長サイード・ビン・スルタン・アル・ナハイヤンと協力して自治の基礎づくりに取り組み,UAE建国の礎を築いた。UAEの 7首長国は,軍隊を含めて既存の諸権利をそのまま保持しつつ,全構成国によって維持される中央の財源から必要に応じた額の援助を受けるというシステムで統合されている。
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