日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナーガリー文字」の意味・わかりやすい解説
ナーガリー文字
なーがりーもじ
Nagari
デーバナーガリー(聖なる都市文字の意)ともいい、サンスクリット語・プラークリット語・アパブランシャ語などの過去の言語や、ヒンディー語・マラーティー語・ネパール語などの現代語を書き表すのに用いられている。グジャラート語の文字もナーガリー文字の一変型とみなしてよい。古代インドでは、アラム文字から発達してきたカローシュティ文字(右から左へ書く)と、北方セム系文字から発達してきたブラーフミー文字(左から右へ書く)の2種類が用いられていたが、ナーガリー文字をはじめとして現在使われているインド・アーリア諸語の文字の大部分は、ブラーフミー文字から発達してきたもので、基本的には音節文字である。
[奈良 毅]
『西田龍雄編『世界の文字』(『講座言語 第5巻』1981・大修館書店)』