ネパール王国の国語。インド・ヨーロッパ語族のインド語派に属する。ネパールの全人口2700万の半数強の人々の母語,他の大多数の人々の第二言語であるほか,シッキムやブータン南部でも広く通用する。ネパール語がネパールの国語となったのは,シャハŚāh王朝による18世紀の国家統一以降であるが,それ以前にも,チベット・ビルマ語系の諸言語を母語とする人々が多く居住するカトマンズや東ネパールに浸透していた形跡がある。文字はサンスクリットやヒンディー語と同様,デーバナーガリー文字を用いる。語順の基本は主語-目的語-述語である。動詞には一・二・三人称,単数・複数の変化やさまざまな時制,法,敬語などの形があり,規則性が高い。名詞は格変化せず,かわりに後置詞が用いられ,またヒンディー語に見られる名詞・形容詞その他の性・数の変化が,口語では大幅になくなっている。発音では無気-有気の対立,つぶやき(murmured)音,そり舌音の存在などが特徴である。
執筆者:石井 溥
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…この重層性は都市形態面にも見られ,3~4階の煉瓦建ての家々が路地に面して連なるネワールの旧市街と,まわりの独立住宅の散在する新しい住宅地とが明瞭な対照をなす。また言語面ではバウン,チェトリの母語ネパール語Nepālī(インド・ヨーロッパ語系)を国語とするネパールの,首都の住民が全くそれと異なるチベット・ビルマ語系のネワール語Newārīを日常的に用いるという現象も現れている。【石井 溥】。…
…とくに山地では〈山地の言葉〉を意味するパハーリー語が最も広く分布する。パハーリー語は西部,中部,東部に分かれ,西部パハーリー語はヒマーチャル・プラデーシュ州の諸言語,中部パハーリー語はガルワール・ヒマラヤの諸言語,東部パハーリー語はネパール語で,ネパールの国語となった。彼らの多くは,イスラムのインド亜大陸侵入によって,難を避けたラージプート(王族)の子孫を自称する。…
※「ネパール語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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