電力の使用量を抑制することによって得られた余剰電力のこと。この電力は、発電所が新たに発生させる電力と等価であるという考え方に基づき、節電や省エネルギー対策などによって得られた余剰電力を発電したものとみなす概念である。「マイナスの」という意味の英単語ネガティブnegativeと、電力の単位であるワットwattを組み合わせた造語で、1990年代以降、アメリカのロビンスAmory Lovins(1947― )(エネルギー学、ロッキーマウンテン研究所理事長)が提唱している。
電力需給が逼迫(ひっぱく)する時間帯に、大企業や工場などが節電や自家発電によって予定消費電力を下回った余剰電力を電力会社が買い取り、電力の不足分に充当する仕組みをネガワット取引という。これにより、発電所新設や設備増設をすることなく、電力を確保することができ、電力料金の抑制方法ともなる。2000年に起きたアメリカのカリフォルニア電力危機を契機に、電力需給対策の一つとして導入された。
日本では2012年(平成24)夏より、電力需給が逼迫しそうな日を予測し、電力会社が管内の取引先企業から入札方式で余剰電力を買い取るネガワット取引が開始された。この制度はネガワット発電所、節電所ともよばれている。
[編集部]
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