インターネットを通じ、オンライン株式取引の場を提供する証券会社。インターネット証券会社の略称である。オンライン証券ともいう。投資家はパソコンやスマートフォン・携帯端末でネット証券のウェブ画面をみながら自分で投資判断し、注文を出すことができる。株式売買委託手数料の自由化やインターネットの普及を受け、アメリカで1995年に初めてネット証券取引が始まり、日本でも1996年(平成8)に大和証券がオンライン取引を開始した。1999年には日本でも株式売買委託手数料が完全自由化され、電機・通信など異業種からの参入でネット証券の開業が相次いだ。通常、ネット証券という場合、店舗や営業員をもたないネット専業証券だけでなく、大手・中堅証券会社が提供するオンライン取引も含める場合が多い。日本証券業協会によると、2023年(令和5)9月末時点で、ネット証券は93あり、同協会会員である証券会社全体の35%を占める。おもなネット専業証券にはSBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券などがあるが、2023年にSBI証券と楽天証券が手数料無料化に踏み切り、ネット専業証券の2強体制化が進んでいる。
投資家は口座開設から、口座番号やパスワードの入手、証券関連情報の収集、投資判断、売買注文、決済までのすべてを、ネットを通じて行うことができる。24時間取引が可能であり、口座開設も従来の証券会社の場合より簡単である。また、ネット証券にとっては、従来の証券会社のように営業員や店舗の必要がなく、従来の対面型販売に比べると大幅に間接経費を圧縮できるため、手数料を低く設定できるという利点がある。日本証券業協会の「インターネット取引に関する調査結果」(2023年9月末)によると、2023年4~9月の証券会社の全取引売買代金のうち、ネット取引の占める割合は24.9%であった。
[矢野 武 2024年3月19日]
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