ハキダメギク
Galinsoga quadriradiata Ruiz et Pavon
熱帯アメリカ原産のキク科の一年草。大正時代(1912-26)に帰化し,関東地方以西の各地のごみ捨場や道ばたなどに生える。茎はよく分枝し,高さ60cmに達する。茎や花柄には開出毛があり,ときに綿毛がある。葉は対生し,薄くて3条脈がある。花期は6~11月。花は舌状花と筒状花とからなる頭花である。舌状花は白色で,5枚内外,先が3浅裂する。筒状花は黄色で先が5裂する。本種によく似たものにコゴメギクG.parviflora Cav.がある。これも熱帯アメリカ原産の帰化植物である。茎の毛はごく少なくて小さく,開出しない。頭花もひと回り小さい。舌状花に冠毛がなく,筒状花の冠毛が鱗片状で先端が截形(せつけい)となるなどで,ハキダメギクと区別される。14種からなるコゴメギク属Galinsogaの中で,雑草として全世界に広がっているのはこれらの2種で,他の12種はいずれも南アメリカないし,中央アメリカのごく限られた地域にしかない。
執筆者:小山 博滋
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ハキダメギク
はきだめぎく / 掃溜菊
[学] Galinsoga quadriradiata Ruiz et Pav.
キク科(APG分類:キク科)の一年草。茎は高さ10~60センチメートル、よく枝分れし、柔らかく、全体に毛が多い。葉は対生し、卵形で三行脈がある。6~11月、径4~5ミリメートルの小形の頭花を次々に開く。管状花は黄色で多数、舌状花は白色で約5個。痩果(そうか)は紫黒色を呈し、冠毛は短い鱗片(りんぺん)状で上部の縁(へり)が刺(とげ)状に分かれる。中央アメリカ原産の帰化植物で、雑草として全世界に広がっている。名は、本種が日本でみつかったとき、掃きだめに生えていたことによる。
[小山博滋 2022年3月23日]
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ハキダメギク(掃溜菊)
ハキダメギク
Galinsoga ciliata; French weed
キク科の小型の一年草で,アメリカ原産。別名コゴメギク。帰化雑草として都会地の路傍などに広まっている。高さ 20~40cmとなり,茎,葉ともに白い短毛が目立つ。葉には柄がなく対生し,長さ4~8cmの菱形状卵形で縁にあらく深い欠刻状の鋸歯がある。夏から秋にかけて,次々と径 5mmほどの白色の頭状花をつける。頭花の外周部には数個の舌状花があり,中央には黄色の管状花がある。
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「ハキダメギク」の意味・わかりやすい解説
ハキダメギク
キク科の一年草。熱帯アメリカ原産の帰化植物で都会地の路傍などにはえる。全体に柔らかく,茎は高さ10〜40cm,葉は対生し,卵形。6〜11月に咲き,頭花は径約5mm,黄色の筒状花と,白色で3裂した舌状花からなる。
→関連項目帰化植物
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