ハースコビッツ(読み)はーすこびっつ(英語表記)Melville Jean Herskovits

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハースコビッツ」の意味・わかりやすい解説

ハースコビッツ
はーすこびっつ
Melville Jean Herskovits
(1895―1963)

アメリカの人類学者。コロンビア大学ボアズのもとに人類学を学び、学位取得後、同大学講師、ノースウェスタン大学助教授、準教授を経て同大学教授となる。アフリカ中米などで数多くの調査を行い、アフリカの民族宗教民話関心を示すとともに、アメリカ大陸での黒人がもつアフリカ的背景に注目した。アメリカ大陸の黒人研究では、その行動様式、家族組織、宗教などを、中米、カリブ地域の黒人も含めて考察した。これらの結果は『アメリカの黒人』(1928)で著された。これらの黒人研究とともに理論家としても多方面に貢献し、文化の変化に関してはその著『文化変容』(1938)で文化変容の概念を定式化し、また『経済人類学』(1952)により、文化のなかで経済行動の占める位置についても、理論的に貢献した。

[豊田由貴夫 2018年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハースコビッツ」の意味・わかりやすい解説

ハースコビッツ
Herskovits, Melville Jean

[生]1895.9.10. オハイオ,ベルフォンテン
[没]1963.2.25. エバンストン
アメリカの文化人類学者。シカゴ大学卒業後,コロンビア大学で F.ボアズに学び,博士号を取得。 1935年ノースウェスタン大学人類学教授。 51年アメリカで最初のアフリカ学の講座を開設,またアメリカ大陸の黒人研究を行なった。ボアズの伝播論継承発展させ,これをドイツ,オーストリア民族学の伝播論と区別するとともに,文化変容エスノヒストリー文化相対主義の理論化に貢献した。主著"The Myth of the Negro Past" (1941) ,"Man and His Works" (48) ,"The Human Factor in Changing Africa" (62) 。 (→文化領域 )  

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