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アメリカの文化人類学者。ドイツに生まれ,キール大学で物理学,地理学を修めたが,1883-84年のバフィン島のエスキモー調査を契機に人類学へ転進した。87年ドイツを去り,96年よりコロンビア大学で人類学を講じたが,彼のもとからA.L.クローバー,C.ウィスラー,R.H.ローウィ,R.ベネディクト,M.ミードら数多くのすぐれた人類学者が輩出した。〈アメリカ人類学の父〉と称されるゆえんである。北米インディアンの集中的実地調査を中心に,民族文化の基礎的データの蓄積に精力をそそぎ,安易な理論や仮説の提示を自分にも弟子たちにもいましめた。実地調査の成果をふまえて19世紀進化主義を批判し,文化の多系的発展過程および文化要素間の歴史的関係を追究した。彼の著作は民族誌,神話,民間伝承さらには未開人の心性,芸術,言語,形質人類学に至る広範な領域を含む。主著は《中央エスキモー》(1888),《人種・言語・文化》(1940)など。
執筆者:松園 万亀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 1862‐1902年,西シベリアの考古,民族,言語を調査したラードロフVasilii Vasil’evich Radlov(1837‐1918)は多くの報告を発表したが,その一つ《シベリアより》(2巻,1884)はよく知られている。20世紀初頭のシベリア北東部の民族学的調査として,アメリカの民族学者ボアズを中心としたアメリカ自然史博物館の北太平洋調査団の活動は重要である。これは,当時の同博物館長ジェサップMarris Ketchum Jesup(1830‐1908)の名をとって〈ジェサップ調査団〉ともよばれる。…
…すなわち,文化人類学は一般に,先史考古学,民族学,社会人類学,言語人類学linguistic anthropology,心理人類学psychological anthropologyなどの諸分野からなるとされるのである。こうしたアメリカにおける人類学および文化人類学のあり方は,アメリカ人類学の父と呼ばれるF.ボアズの学問傾向に由来する。彼の学問関心の範囲はきわめて広く,民族学的な研究に加えて言語学や考古学にも手を染め,さらに身体・形質の研究にも従事している。…
※「ボアズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...