改訂新版 世界大百科事典 「バトラー法」の意味・わかりやすい解説
バトラー法 (バトラーほう)
Butler Act
イギリスの1944年教育法の通称。当時の教育庁総裁バトラーの名に由来する。1870年のイギリス最初の教育法以来の諸法を統合し,第2次大戦後の教育制度の骨組を定めた。義務教育年限を従前の14歳から15歳に引き上げ,また教育全体を初等(11歳まで),中等(12~18歳),継続(19歳以上)の3段階に区分するなどの改革を行ったが,なかでも,労働組合や労働党がかねてより主張していた〈すべての者に中等教育を〉という要求を実現したこと,中央教育行政の権限を強化したことが特筆される。これによって公立の中等学校は無償となり,また教育庁は教育省に昇格した。イギリスの福祉国家的教育政策を象徴する。
執筆者:宮沢 康人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報