バルカナイズドファイバーともいう。加工紙の一種で,組織が緻密(ちみつ)で固く,電気絶縁性,耐衝撃性が高いので,電気絶縁材料,運搬用容器またはスポーツ用具の部品に用いられる。原料には精製度の高い化学パルプまたは木綿繊維を用い,シートを作ってから濃塩化亜鉛溶液につける。繊維は強く膨潤して膠化する。それを水洗,圧縮,乾燥して作るが,膨潤剤の除去に時間がかかるので,2mmより厚物の場合には薄いシートを合成樹脂接着剤で何枚もはり合わせて作ることが多い。膨潤剤を除去するとシートはつぶれ,そのうえ圧縮するので,バルカンファイバーの密度は普通の紙の2倍近い1.1~1.4g/cm3にもなる。用途に応じて,あらかじめ顔料を加えて着色する。
執筆者:臼田 誠人
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【呼称とその範囲】
現在われわれがバルカン半島と呼んでいる半島は,古来ギリシア人の半島,ビザンティン半島,イリュリア人の半島などと呼ばれ,第1次世界大戦前には,〈ヨーロッパ・トルコ(オスマン・トルコのヨーロッパ部分)〉として一般に知られていた。バルカンという名称は,1808年にドイツの地理学者ツォイネJohann August Zeune(1778‐1843)によって初めて命名されたといわれているが,近代地理学の創始者A.vonフンボルトの学説にしたがい,できるだけ政治色をもたない地名設定の方法が科学的であると考えたツォイネは,現在のスターラ・プラニナ山脈(バルカン山脈)が現地住民のあいだでバルカンと呼ばれていたところから,そのように命名したのである。…
※「バルカンファイバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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