長野県中東部、南佐久郡(みなみさくぐん)にあった旧町名(臼田町(まち))。現在は佐久市の南東部を占める。旧臼田町は佐久盆地南部に位置し、1893年(明治26)町制施行。1955年(昭和30)切原(きりはら)村、1957年田口青沼(たぐちあおぬま)村と合併。2005年(平成17)佐久市に合併。旧町域は千曲(ちくま)川の両岸に広く広がり、中心街は左岸にある。JR小海(こうみ)線が中央を南北に通過し、商店街は国道141号に沿っている。明治以後は南佐久郡の行政、教育の中心にもなっている。長野県厚生農業協同組合連合会の佐久総合病院があり、農村医学の拠点とされ、7階建ての偉容を誇り、全県下より患者が集まる。また田口には、函館五稜郭(はこだてごりょうかく)とともに全国で二つしかない星型の城郭龍岡城跡(たつおかじょうあと)(国指定史跡)がある。1863年(文久3)田野口藩主大給(おぎゅう)松平乗謨(のりかた)がフランスの築城法を取り入れて建てた(完成は1867年)もので、城跡は小学校になっているが、星型の堀は現存している。これより東1キロメートルの山麓(さんろく)には、室町末期建立の国指定重要文化財の三重塔をもつ新海三社神社(しんがいさんしゃじんじゃ)がある。
[小林寛義]
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