ピグー効果(読み)ピグーコウカ(その他表記)Pigou effect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピグー効果」の意味・わかりやすい解説

ピグー効果
ピグーこうか
Pigou effect

価格水準の下落による保有貨幣の実質的価値の増加が消費や貯蓄に与える効果をいう。 J. M.ケインズ (およびケインズ学派) と A. C.ピグーとの間に戦わされた雇用理論に関する論争において,ピグーは貨幣賃金の切下げが価格水準を引下げるというケインズの主張を認めたうえ,「価格水準の下落によって所有貨幣の実質的価値は増加し,より一層の物価下落はないという期待のもとで貯蓄意欲は減少し,消費支出は増大する (ケインズの主張する利子率の低下という経路を通ることなく) 。有効需要は増大し,失業者を吸収しうる」という理論を展開した。かくしてこのことより失業救済の方法として貨幣賃金の切下げが有効となる。この概念は D.パティンキンによってピグー効果と名づけられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のピグー効果の言及

【資産効果】より

…それに対して,新古典派の経済学者たちの間から,消費を決定するもう一つの重要な要因として,保有資産の残高が挙げられ,資産効果の存在が,ケインズの乗数効果に無視しえない影響を与えるということを指摘した。その代表的な経済学者はA.C.ピグーであったので,資産効果はしばしばピグー効果とも呼ばれる。 現在,資産効果は狭い意味でのピグー効果だけでなく,もっと一般的な意味に用いられている。…

【ピグー】より

…そうした総合的な立場は彼の《雇用と均衡》(1941)に示されている。なおケインズ派との論争の過程において,賃金と物価が低落すれば人々の保有する貨幣的資産の実質価値が高まり,それが消費を増加させるかもしれないという考え方が示唆され,これは〈ピグー効果Pigou effect〉(実質残高効果ともいう)と呼ばれるようになった。厚生経済学【熊谷 尚夫】。…

※「ピグー効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...

リユースの用語解説を読む