旺文社世界史事典 三訂版 「フランス帝政」の解説
フランス帝政
フランスていせい
【第二帝政】1852〜70 ナポレオン3世が1852年国民投票により帝位についてから,70年没落するまでの帝政
彼は農民・ブルジョワジーを基盤として独裁権をふるい,全ヨーロッパに支配権を確立したが,モスクワ遠征に失敗し,ライプチヒの戦いに敗れて1814年退位し,第一帝政は崩れた。
彼は資本家階級・労働者階級の対立の一種の均衡の上に立ち,保守的な農民層・小市民層・カトリック教会の支持を得て,軍事力・警察力を背景とした独裁権をふるい,また対外積極策をとって国民の信望を得ようとした。しかし,1859年のイタリア戦争以来,カトリック教会の不信を招き,60年の英仏通商条約による保護貿易策の放棄は,産業資本家層の反抗を招いた。そこで新しい支持層を求めて自由主義的政策をとるに至ったが,労働者階級は急進化し,共和主義も盛んとなった。メキシコ介入など一連の対外政策の失敗は,ナポレオン3世の威信を失墜させ,普仏 (ふふつ) 戦争に敗れて退位し,第二帝政は崩壊した。
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