ブチルリチウム

化学辞典 第2版 「ブチルリチウム」の解説

ブチルリチウム
ブチルリチウム
butyllithium

C4H9Li(64.06).n-C4H9Li,s-C4H9Li,t-C4H9Liがあり,いずれもハロゲン化ブチルと金属リチウムとの反応で合成される.無色液体で,エーテルベンゼンペンタンヘキサンなどに易溶.これらの溶液中ではブチルリチウムは会合しており,ベンゼン中では六量体,エーテル中では二量体となっていることが知られている.空気中の水,酸素,二酸化炭素とはげしく反応するため,通常は溶液状態で,窒素またはアルゴン雰囲気下で取り扱われる.安定性はt-,n-,s-の順に低下し,反応性はt-,s-,n-の順に低下する.強力なリチオ化剤となるほか,他の金属のアルキル化剤として,二重結合への付加反応などの試剤として,それぞれ重要である.また,スチレンイソプレン,メタクリル酸エステルなどに対してはアニオン重合開始剤としてはたらき,立体規則性重合体を与えることが知られている.[CAS 109-72-8:n-C4H9Li][CAS 920-36-5:s-C4H9Li][CAS 594-19-4:t-C4H9Li]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ブチルリチウム」の意味・わかりやすい解説

ブチルリチウム
butyllithium

化学式C4H9Liで表される有機金属化合物。ブロモブタンにエーテル中で金属リチウムを作用させて得られる。無色の液体。リチウムの結合する炭素の位置によって,第一(n-およびイソ),第二,第三の4種類の異性体が知られており,この順序塩基性が強くなる。対応するグリニャール試薬よりも塩基性が強く,有機化合物中の酸性水素の引抜反応を行う試剤として重要である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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