プーチン首相のタンデム政権(読み)ぷーちんしゅしょうのたんでむせいけん

知恵蔵 の解説

プーチン首相のタンデム政権

2007年12月にプーチン大統領から後継大統領に指名されたメドベージェフは、ただちにプーチンを次期首相に推薦した。12月の統一ロシアの大会でプーチンはメドベージェフが08年3月の大統領選挙で当選した場合という条件の下に、次期首相に就任することに同意した。これで、メドベージェフ大統領およびプーチン首相の「タンデム政権(二頭政治)」が現実的となった。憲法上また法律上は、国防省外務省内務省、連邦保安局、法務省など有力な省庁は大統領に直属し、その他の重要な権限も大統領の管轄で、首相の権限は経済を中心とした内政に限られている。つまり既存の制度の下では、対外政策や安全保障、治安など国家の戦略的な重要問題は、大統領が担当することになる。大統領選挙後は制度を変更して、大統領を名目的なものとして首相を実質的な国家元首とするのではないかとの見方もあったが、プーチンは制度の変更はしないと言明した。今後、国際的にも、国内的にも圧倒的な力を有してきたプーチンが、首相の立場でいかにして影響力を保持するのか、また若手実権を行使したことのないメドベージェフが真の大統領としての権力権威を持つことができるのか、内外関心の的となっている。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報