国防について責任を負う中央官庁で、陸海空三軍を統轄する。第二次世界大戦以前は、各国とも中央機構としての陸軍省、海軍省が別個に置かれ、それぞれ独立して陸海軍を管理運営していた。しかし、航空機の発達にしたがって空軍を独立させる必要が生じ、戦後、議会制民主主義諸国においては軍事上の適合性や能率的な軍隊の管理という側面からだけでなく、文民統制の見地からも、三軍を統合して管理運営する単一の国防省を創設する原則が確立された。これを三軍統合の原則という。国防省には長として国防大臣(文民)が置かれる。1947年にまずイギリスで国防省が設置され、49年にはアメリカでも国家軍事機構が国防総省(通称ペンタゴン)となった。さらにフランス、旧西ドイツなどのほか、かつてソ連をはじめとする社会主義諸国でも国防省が設けられた。英米のように国防省内に陸海空軍各省が置かれる場合と、旧ソ連、ドイツのように国防大臣が三軍を直接統轄する場合がある。
[亀野邁夫]
…アメリカ合衆国国防(総)省Department of Defenseの通称。バージニア州アーリントンのポトマック河畔にあり,建物が五角形pentagonをしているのでそう呼ばれる。…
※「国防省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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