ベヒスタン(読み)べひすたん(その他表記)Behistan

デジタル大辞泉 「ベヒスタン」の意味・読み・例文・類語

ベヒスタン(Behistūn)

イラン西部、ザグロス山脈中部の小村ケルマーンシャー東方にある。アケメネス朝ペルシアのダレイオウス1世時代の浮き彫り碑文の刻まれた岩山があり、楔形くさびがた文字解読のもとになった。2006年、碑文を含む磨崖まがい全体が世界遺産文化遺産)に登録された。ビーソトゥーンビストゥンビヒストゥンベヒストゥン

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精選版 日本国語大辞典 「ベヒスタン」の意味・読み・例文・類語

ベヒスタン

  1. ( Behistun ) イラン西部ケルマンシャーの東方にある村。岩山の絶壁アケメネス朝ペルシアのダレイオス一世の事蹟を記した碑文(ベヒスタン碑文)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベヒスタン」の意味・わかりやすい解説

ベヒスタン
べひすたん
Behistan

イランのケルマーンシャー東方約30キロメートルにある村。ビストゥンBīstūnともビヒストゥンBihistūnともいう。古代のバグダードとラゲスを結ぶ街道上にあり、近くにベヒスタンの碑文が刻まれた岩山がある。ベヒスタンという名はアラブの地誌家ヤークートの記録したバヒストゥーンに基づくもので、1837年碑文を解読したイギリスのH・ローリンソン以来ヨーロッパで使われている。近世ペルシア語の呼称ビーソトゥーンBīsotūnはバヒストゥーンの縮約形で「巨大な岩柱のある」とか「柱のない」と俗解されているが、古代ペルシア語のバガスターナ「神祭の場」、ギリシア語写音バギスタノスに由来すると考えられる。岩山の絶壁には古代ペルシア語、エラム語、バビロニア語によるダリウス1世の戦勝碑文がある。頂上には先史時代の洞穴があり、麓(ふもと)には泉があるため、この大岩塊が神祭の場とされたらしい。祭神アフラ・マズダーあるいは戦神ミトラ(ミスラ)であったと考えられる。12世紀の詩人ニザーミーの『ホスローシーリーン』の舞台にもなった。

[井本英一]

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改訂新版 世界大百科事典 「ベヒスタン」の意味・わかりやすい解説

ベヒスタン
Behistan

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世界大百科事典(旧版)内のベヒスタンの言及

【ビストゥン】より

…イラン西部,ケルマンシャーの東32kmにある村。その名は北側にそびえる山の古名バガスターナ(〈神の座〉の意)に由来し,ベヒスタンBehistan,ビヒストゥンBihistūnとも呼ばれる。有名なダレイオス1世の碑文は約70mの高所の切り立った岩壁に刻まれているが,そのふもとには旧石器時代の洞窟遺跡,メディア期に想定される祭祀遺跡と城砦跡,セレウコス朝時代のヘラクレス像,パルティアのミトリダテス2世とゴタルゼス2世の浮彫がある。…

※「ベヒスタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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