日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローリンソン」の意味・わかりやすい解説
ローリンソン
ろーりんそん
Sir Henry Creswicke Rawlinson
(1810―1895)
イギリスのオリエント学者、外交官、政治家。オックスフォードシャーで生まれる。16歳で東インド会社に入り、インド、ペルシア、トルコで軍人、政治家として過ごしつつ東方諸語や歴史を学び、とりわけ古代ペルシア刻文に興味をもった。イランのビストゥン(ベヒスタン)にある古代ペルシア王ダリウス1世の3か国語岩壁刻文を二度にわたり危険を侵して写し取り、これを研究し、まず古代ペルシア楔形(くさびがた)文字をほぼ正しく解読した。ついでシュメール・アッカド楔形文字、およびこれで記されたバビロニア語を研究し、かなりの成果をあげた(ともに1850年前後)。1857年にはこの文字の解読コンテストが行われ、解読が一般に認められた。ビストゥン刻文研究は1846年に刊行されたが、1861~1884年に公にされた『西アジア楔形文字刻文』5巻は記念碑的労作となった。1858年以降、国会議員、駐ペルシア大使、インド帝国政府高官を歴任した。
[矢島文夫 2018年8月21日]