楔形文字(読み)くさびがたもじ

百科事典マイペディア「楔形文字」の解説

楔形文字【くさびがたもじ】

〈せっけいもじ〉とも読む。シュメール,アッシリア,ヒッタイト,古代ペルシアなどの古代オリエントで広く使用された文字。多く粘土板に角のある棒状のもので刻んだためにに似た形をとる。一般に左から右へ横書きし,多くは子音を伴う音節文字だが,単独の母音を表す文字もある。前4000年から前3000年ごろシュメール人が発明したときは絵文字だった。前2500年ごろから,特徴的な楔の形をとるようになる。グローテフェントローリンソン,ヒンクス,フロズニー,バウアーらによって解読された。→文字
→関連項目アッカド語アッシリア学イラン語派ウガリトエラム語楔形文字法シュメール粘土板文書バビロニア語ヒッタイト語ボアズキョイマリ(遺跡)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「楔形文字」の解説

楔形文字
くさびがたもじ
cuneiform writing

せっけいもじ,けっけいもじとも読む。シュメール人によって発明され,前 3500年頃からおよそ 3000年間,メソポタミアを中心とした古代オリエントで広く用いられた文字。もともと泥板に角のある棒のようなもので刻みつけたため線が楔形になるのでこの名がある。最古の楔形文字はウルクのエアンナ神域の第4層 (ウルク後期) から発見された絵文字で,今日その文字数は約 1000文字が知られている。その後,初期王朝時代にかけて楔形文字が一般化し,表音化された。バビロニア南部を統一したセム系アッカド人は楔形文字を採用してアッカド語を書き残した。そのためアッカド王朝滅亡後もアッカド語はオリエント世界で広く用いられた。

楔形文字
せっけいもじ

楔形文字」のページをご覧ください。

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旺文社世界史事典 三訂版「楔形文字」の解説

楔形文字
くさびがたもじ
cuneiform script

前3100年ごろ,シュメール人が絵文字から発明した文字
粘土板にの茎や金属製のペンで刻んだ。アケメネス朝の滅亡まで,メソポタミアをはじめ全オリエントで使用された。元来,シュメール人の楔形文字は表意文字が主で,表音文字は少なかったが,アケメネス朝時代には,5つの表意文字を除いて全部表音文字化されていた。やがてアラム文字の盛行とともに消滅する。この文字による史料は,神話・占い・賛歌呪文 (じゆもん) ・天文学・数学・年代記・歴史・ハンムラビ法典・裁判記録など多様にわたる。19世紀前半になって,ドイツのグローテフェントとイギリスのローリンソンにより解読された。

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精選版 日本国語大辞典「楔形文字」の解説

せっけい‐もじ【楔形文字】

〘名〙 紀元前三〇〇〇年のころシュメール人が発明し、バビロニア・アッシリア地方や小アジアで紀元前数世紀まで用いられた文字。最初は一字一語である単語文字、のちに綴文字となった。象形文字とも併用され、粘土板、石板、柱、金属板などに刻まれている。字画の一方が広くしだいに細くなっていて、楔(くさび)の形に似ているところからいう。くさびがたもじ。楔状(けつじょう)文字。
※法窓夜話(1916)〈穂積陳重〉四二「石柱の両面に楔形文字が彫り付けてある」

くさびがた‐もじ【楔形文字】

〘名〙 紀元前三五〇〇年頃から紀元前数世紀までアッシリア、バビロニア、ペルシアなどで広く用いられた文字。その遺品は、粘土板に葦(あし)の茎を押して書いているため、楔形の組合せから成っている。シュメール人の発明。せっけいもじ。けっけいもじ。
伸子(1924‐26)〈宮本百合子〉一「字でも、大昔はあんなのでない楔形(クサビガタ)文字を使ったのです」

けっけい‐もじ【楔形文字】

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デジタル大辞泉「楔形文字」の解説

くさびがた‐もじ【×楔形文字】

古代の小アジア世界で、粘土板に刻まれたに似た形の文字。表意文字から表音文字に移行する段階にあり、一般に1字が1音節を表す。アッカド語ヒッタイト語・古代ペルシア語などに使用された。楔状けつじょう文字。けっけいもじ。せっけいもじ。
[類語]文字文字もんじ鳥跡ちょうせき鳥の跡用字表記点画てんかくレター邦字ローマ字アルファベットハングル梵字ぼんじ大文字小文字頭文字イニシャル英字数字漢字仮名真名片仮名平仮名万葉仮名字母表音文字表意文字音字意字象形文字甲骨文

けっけい‐もじ【×楔形文字】

くさびがたもじ

せっけい‐もじ【×楔形文字】

くさびがたもじ

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世界大百科事典 第2版「楔形文字」の解説

くさびがたもじ【楔形文字 cuneiform script】

古代オリエントで使用され,字画のそれぞれが楔の形をした文字の総称。楔形(せつけい)文字とも読む。
[種類と分布]
 三つの系列が知られている。一つはシュメール人の発明した楔形文字で,一般に楔形文字といわれるときは,この文字体系が意味される。他の一つはアケメネス朝ペルシアで使用されたもので,文字数は41個に減少し,アルファベット的に使用されることもあったが,基本的には日本のかな文字に似た音節文字であった。

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世界大百科事典内の楔形文字の言及

【アッシリア学】より

…1857年に公式に成立した新しい学問領域。広義には古代オリエントにおいて発見される膨大な楔形文字資料の解読とその文献学的研究を中心課題とし,考古学的研究と並行して楔形文字を使用した民族の政治・社会・経済・法律・宗教・芸術・文学などの文化全般と歴史を研究する学問を意味する。しかし最近では研究が飛躍的に進歩したため多くの専門領域に分化した。…

【グローテフェント】より

…ドイツの古代言語学者。古代オリエントの楔形文字の最初の解読者の栄をになう。1795年ゲッティンゲン大学に入り,卒業後は,ゲッティンゲン,フランクフルト・アム・マイン,ハノーファーのギムナジウムで古典語などを教え,1821‐49年,ハノーファーのリュツェウム(フランスのリセのドイツ語訳)の校長であった。…

【爪印】より

…爪判(そうはん),〈そういん〉ともいう。紀元前8世紀のメソポタミア楔形(くさびがた)文字の粘土版に見える。これは土地売買の契約証文であり,世界最古の爪印資料である。…

【楔形文字】より

…古代オリエントで使用され,字画のそれぞれが楔の形をした文字の総称。楔形(せつけい)文字とも読む。
[種類と分布]
 三つの系列が知られている。…

※「楔形文字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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